『AV制作会社の女子社員』のウラ側とは

【世にも奇妙なAV業界の話】 第三回:気になる“女子社員”のウラ話

1006officelady_fla.jpg※イメージ画像:Thinkstockより

 女性の社会進出は、第二次安部政権の目玉となった。閣僚に過去最多となる5人もの女性大臣が起用され(のちにダブル辞任になったが)、今後はよりいっそう女性が仕事を担えるような法整備も進んでいくだろう。

 しかし、安部首相が高らかに宣言する以前から大手アダルト系メーカーでは女性の採用を進めてきた。昨今は女性用のAVなどが注目され、いわゆるアダルト企業の“女子社員”にもスポットが当てられてきた。具体的な数字まではわからないが、大手メーカーでは女性の比重が高まっているという。

 男性諸氏からすれば、アダルトメーカーで働く女子社員というと、ついSODの『女子社員シリーズ』を思い浮かべてしまうだろう。あのイメージが強いから「アダルトメーカーなのだから、多少のセクハラは当たり前」とか「エロい女子が多いのでは」と勘繰ってしまうのも当然といえば当然だ。

 『女子社員シリーズ』の真偽は、とりあえず置いておくとして、業界における女子社員の現状は、いかがなものだろうか。

AV制作会社女性社員の現状とは?セクハラはない?

 実は筆者がメーカーに勤務していたころ、所属部署5人中2人が女性であった。しかも当時24~5歳の若い女性である。どちらも一般的に普通からカワイイの部類に入る顔立ちで、一見するとAVなんてほど遠い存在に見える。やはり後輩に女子が入るというのは、うれしいことだし、「なんでまたこんな業界に?」と気になって聞いてみたことがある。

「別に今どき、エロとか気にしなくないですか? 技術的な仕事がしたかったし、意外と楽しそうかもとか思って」

 このように、返答は今どきの女子といった感じで、自分がアダルト業界に身を置くことへの抵抗感は微塵も感じていない様子だった。ちなみに親には「映像製作会社で働いてる」と言っていたらしい。女性も強くなったものだと感心した覚えがある。

 およそ10年前でこの状況である。それよりさらに性の一般化が進んだ今となっては、わざわざアダルト業界に就職したいと考える女性も増えたそうだ。あるメーカーに入社して4年目になるA子さんは言う。

「もちろん、親は反対しましたよ。でも、ちゃんとやりたいことだってわかってほしくてきちんと説明しました。AV自体はあまり観なかったんですけど、女優さんには憧れていました。だって、たくましいじゃないですか。世間的には後ろ指を指されやすいのに、裸をさらけ出して自分自身の体だけで生きていくって。だけど、自分はそこまでカワイくはないし、せめて手助けできるような仕事がしたいなと思って、就職しました」(入社4年目・A子)

 ちなみにA子さんは、色白で目がクリクリとしていて、何ともカワイらしい女性だ。こんな志の高くて、ルックスもいい女子社員なのだから、セクハラが心配になるが……。

「うちの会社は、セクハラには徹底してるんです。だから、皆さんが思ってるようなエッチなことを強要されたことはありません。ただ、やっぱり一般の会社とは違うのは、エッチな単語とかが飛び交うことですかね。まあ仕事ですから、しょうがないですけど、最初は少し恥ずかしかったです」(入社4年目・A子)

 実はアダルト業界は、女性へのセクハラに敏感である。そもそも偏見の多い会社内でセクハラが横行していたら、それこそ問題だからである。しかし、A子さんは最近入ったばかりの新入社員のようなもの。一方で業界歴が長くなればなるほど、さまざまな経験をしている女子社員がいるのも確かだ。

「ぶっちゃけ一般企業だったらアウトのようなこともありますよ。私は、撮影現場でジャケットの試し撮りでM字開脚させられたこともあります。もちろん服は着てますけどね。あとは男優さんのオチ○チンを握らされたり。それも撮影の一環だったので仕方ないですけどね(笑)。セクハラに当たるハードルが低いのは確かです」(入社10年目・B美)

 仕事なのだから、と割り切れるかどうかは個人によるところが大きい。ちなみに筆者は、女子社員ともフランクに性に関する話をしていた。女性もそれが普通であったし、セクハラだと訴えられることはなかった。ただ、やはり“お触り”が過剰だと問題になることがある。セクハラが元でクビになった人物も記憶している。あえていうなら“業務上セクハラ”は許される業界だといえよう。一般企業だと完全にアウトだとしても、だ。

元AV女優が働いている?

 ここまでの話は、あくまで一般的な手続きで入社した女子社員の話。このほかに意外と多いのが元AV女優が、引退してメーカーに勤務するケースだ。その手の女性と数人ほどお会いしたことがあるが、やはり普通の女子社員とは違うエロスが漂っている。胸の谷間が大きく開いた服を着たり、パンティが見えそうなほどのミニスカを穿いていたり。それだけの色気があるから広報などの対外的な仕事に就くことが多い。

 しかし、枕営業の類いはほとんど聞いたことがない。というかメーカーという立場で枕営業をしなければならない状況はなかなか生まれづらいからだ。メーカーというのは、あくせく営業して顧客を取らなくてはならない職業ではない。宣伝のためにブログを書いたり、出版社との折衝をするくらいである。かつてのように出版物に多大な広告効果があるなら枕営業をして、誌面紹介にこぎつけるようなこともあろうが、今はむしろ出版社が頭を下げて紹介させてもらうことのほうが多い。枕営業については、一般企業よりもよほど少ないといえるだろう。

 アダルトメーカーは、セクハラのハードルが低いことを除けば、よくも悪くも普通の企業なのだ。最近ではTENGAなどの企業が大学で新卒向けの説明会なども実施しているし、一概に女性が働きにくいとは言い切れない。それどころか役員になる女性も少なからず存在する。女優も踏まえれば、皮肉にも安倍政権が掲げる「女性の社会進出」をいち早く達成している業界といえなくもない。そんな状況で『女子社員シリーズ』を出しているSODってやっぱりスゴイなぁ!
(文=中河原みゆき)

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第ニ回:AVの源流は映画か、テレビか?

【AV業界への就職を考える人へ! これがAV会社の実態だ!!】バックナンバー
第一回:AV業界の構造とコンプレックスについて
第二回:AVメーカーの本当の仕事 ~前編~
第三回:AVメーカーの本当の仕事 ~後編~
第四回:険しすぎる男優への道
第五回:AV女優を管理するプロダクションの仕組み

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