裏本の原盤を利用した“アイディア商品”が摘発された理由


 しかし、この商品はA4サイズの写真のみで、説明も何もついていなかった。現在では多くのアダルトアイテムに使用法などが明記されているが、2000年代頃まではほとんどのアダルトグッズやアイテムには、説明書などがまったくないのが普通だった。説明書どころか、使用についての説明すらない。箱にも何も書かれていないのが当たり前だったのである。

 ユーザーの一人である筆者も、いろいろと試行錯誤を重ねた。まず、油性インクのように溶けるのではないかと思い、マニキュアの除光液やベンジンなどを塗ってみたが、まったく変化なし。次に、樹脂ごとはがそうしたが、しっかりと台紙に定着していた。無理にはぎ取ろうとしたら、写真ごと破損していただろう。もしかしたら、そうやって台無しにしてしまった男性もいたかもしれない。紙なので、火であぶるわけにはいかない。ガムテープをくっつけてみたが、そんなものではびくともしなかった。

 いろいろと試してみて疲れた頃、ふとふと思いついて部屋の蛍光灯の明かりに透かしてみた。すると、的中である。白い樹脂が透けて、その下の「画像」が鮮明に浮き出で、肉眼でしっかりと確認することができたのである。だれが考えたのか、なかなかの妙案であると当時の筆者は感じた。

 この写真セットはいくつものタイトルが発売されていた。閲覧方法に気づいて、全セットを購入した御仁も多かったのではないだろうか。

 しかし、ほどなくしてこの商品は当局の摘発をうけ、店頭から姿を消した。この摘発によって、「通常は視覚的にさえぎられていても、簡単な作業や操作によって画像閲覧が可能になるものは取締りの対象となる」という実例が示されたのである。

 その後、アダルトビデオが全盛になると、今度は「モザイク処理除去マシン」なるものが通販などで見かけるようになる。だが、こちらが摘発されたという話は聞いたことがない。おそらく、すべてインチキだったからであろうと、筆者は経験的に考える。
(文=橋本玉泉)

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