【AV撮影現場今昔】 最終回:劇場化するAV撮影


■2000年代初頭に訪れた百花繚乱の時代

 かくも激しくユニークな“劇場型AV”を、手に汗握り、時には戸惑いながらも数多く取材していたことが脳裏に蘇ってくる。。

 コスプレギャル4名による苛酷なトーナメント戦が行われた『ガチンコ!! ローションキャットファイト2』(SODクリエイト/2002年)や、とにかく派手派手しいギャルでスタジオが充満していた『ギャルモア』(V&Rプランニング/2001年)、まるでミュージックビデオ撮影のように大型重機でカメラを台座ごと縦横無尽に移動させながら撮影された宝来みゆき引退作『Love Song ~永遠に…~』(ドグマ/2004年)のオリジナルソング歌唱シーン、白昼堂々(!?)賑わう原宿の雑踏の中で撮影された『顔は原宿 カラダは車中!!』(主演:青木玲/ホットエンターテインメント/2004年)など、一筋縄ではいかない強烈な印象を残してくれた撮影の数々。

 今こうして思い返すほどに、激動の時代であったと思う。取材ではもちろん、これらの過激な撮影に出演する女優&企画女優の話も聞いたが、その出演理由もそれぞれで、「止められている携帯電話を復活させるため」とか「家賃を滞納してて…」というものから、「海外旅行の資金のため」とか「プチ整形の費用で」といったものまで、実にさまざまであった(苦笑)。

 先にも述べたように、2000年代初頭は格闘技ブームも最高潮に達していたし、大食い自慢の素人による『大食いブーム』も盛り上がっていたようで、社会全体としてもなかなか猛々しい時代だったと言えるのかもしれない。特に「大食い」は女性でも男性と肩を並べて戦える分野であることがわかり、世の女性に決して無視できない大きな自信をもたらしていたのかもしれない。2001年のニューヨークを襲った同時多発テロの悲劇に沈む世界情勢から遠く離れた“辺境”日本の、そのさらに片隅にあるAV業界が迎えていた百花繚乱の時代に立ち会えたことは大きな幸運だったと感慨を深めている。とはいえ、懐かしがってばかりもいられない。これからも1作でも多くのエロくてエキサイティングなAV作品を“目撃”すべく奔走したいと思う次第である。
(文=宍戸ペダル)

宍戸ペダル(ししど・ぺだる)
前世紀からAVばかり見ているエロライター。AVレビュー、インタビュー、現場取材と目下大々的に(!?)活躍中!

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