週刊誌が「無料エロ動画」特集を相次いで掲載、アダルト業界関係者が反発


 また、前述の週刊誌記事に対しても、あるアダルト業界関係者が「FC2のアップロードロードをこまめにチェックしたり、コピー品を摘発に各社協力してまわっている最中に日ごろ無料にはことさら厳しい雑誌界からこういう記事を出されるとやるせない」とネット上で発言。さらに「シールを貼って立ち読み禁止にしたり、袋とじで意地でもタダ読みさせない週刊誌が無料配信を煽るのに腹が立つ。エロは金払わなくていいのか」と雑誌の姿勢を批判している。

 こういった違法動画を根絶することはできないのだろうか。

「XVIDEOSをはじめとした動画サイトを運営しているのは大半がアメリカの企業。FC2のように、代表者が日本人で日本国内を中心に活動していても本社はアメリカというケースもある。この場合、日本からであっても権利者が削除を申し立てればデジタルミレニアム著作権法(米国で2000年から施行)に基づいて運営側は削除に応じなくてはならない。しかし、同法は削除にさえ応じれば違法動画がアップされてもサービス運営者は罪に問われないという条項があり、根本的な解決にはつながらない」(アダルト業界関係者)

 削除申請に応じてもらえるならまだいいようにも思えるが、逆に言えば、いちいち権利者が申請しなければ違法動画は垂れ流し状態のまま。違法動画をチェックして削除申請するという作業は非常に手間が掛かり、権利者側の負担が大きいのは容易に想像がつく。また、違法動画の発見から削除までの間は配信を止める手立てがないため、アカウントを代えて繰り返しアップロードされれば対策は難しくなる。

 これは業者側だけの問題ではない。違法動画によってAVの売上が下がれば、そのあおりを受けたメーカーは制作費を縮小せざるを得ない。それで業界自体が盛り下がれば、予算は縮小の一途をたどり、小規模なメーカーなどは潰れてしまうかもしれない。そうなれば、結果的に消費者は良質な商品を手にすることができなくなり、選択の幅も狭まってしまう。

 この構図はAVに限った話ではなく、音楽やアニメや映画など全てのコンテンツビジネスに共通している。にもかかわらず、著作権あってこそ成り立っている出版社が違法動画の視聴を煽るような企画を立て続けに組んでいるのは無神経にも程があるといえるだろう。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops

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