娘を自宅に27年間も監禁した事件 その驚くべき理由とは…


 ただし、セックス行為そのものについては寛容であったものの、ルール違反についてはこの時代は大変に厳しかった。たとえば夜這いにしても、地域内での実行についてはおおらかだったが、他村などのエリア外への夜這いや、または地域内でも夜這いが禁止されている女性、たとえば12歳未満の女性や妊婦などに対する夜這いを挙行したような場合には、指導的な立場の年長者たちから厳罰が処せられることが決められていた。実際、そうした処罰例も記録に残っている。

 この娘の場合も、そうした何らかのルール違反があったのではあるまいか。あるいは、日頃から素行に問題があり、たとえば暇さえあれば街に出て、無軌道かつ野放図にセックスを楽しむようなことを続けていたのかもしれない。そういうことであれば、この当時の親であっても「外出厳禁」を実行しても無理はなかろう。

 ところがこの両親、簡単に娘の外出禁止を解かなかった。そして、狭い座敷にムシロと布団をそれぞれ一枚だけで、食事といえばおにぎり3個程度。そんな待遇を何と27年間も続けたというから驚きである。こうなると、理由や事情はどうあれ、人権侵害の監禁、虐待そのものである。これには当時の警察も「あまりに酷い」と告発したという。

 たしかに酷い話であるが、21世紀の今日でも、なお幼児や児童への虐待事件は後を絶たない。「昔は野蛮だった」などというのは、とんでもない勘違いといわざるを得ないのではなかろうか。
(文=橋本玉泉)

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