伝説の鬼畜ライター「村崎百郎」の記念館が完成! 妻・森園みるくが語る“鬼畜”の素顔

伝説の鬼畜ライター「村崎百郎」の記念館が完成! 妻・森園みるくが語る鬼畜の素顔の画像4「編集者・黒田一郎」の部屋では、村崎氏が実際に使っていたデスクやパソコン等も展示

 
■ライフワーク「ゴミ漁り」

──村崎さんのライフワークで著書や連載でも頻繁にテーマになっていた「ゴミ漁り(別名ダスト・ハンティング)」ですが、一部ではゴミ漁りすら仕事上のキャラクターだったのではないかという意見があります。実際のところ、ゴミ漁りはしていたんでしょうか。

森園:もちろん、本当にしていましたよ。私も数え切れないくらい同行したことがあります。一番頻繁な時は週に最低3回くらいは行ってましたね。コースが決まってるんですよ。いいゴミがあるポイントがあって、そこを回ってくる感じですね。

──森園さんも同行されていたんですか。それは仕事上の企画ではなく?

森園:プライベートで普通に(笑)。村崎はエロ本やエロビデオがメインでしたけど、私は服専門でしたね。あと粗大ゴミのテーブルとか、いいのがいっぱい落ちてたから。テーブルなんかは今でも使ってますよ(笑)。

──村崎さんと一緒にゴミを拾っていたというのは…。それは「レディコミの女王」としてイメージ的に大丈夫なんでしょうか…?(笑)

森園:だってブランド品の服とかいっぱい落ちてるんだもん(笑)。最初に村崎と知り合った時、私が住んでたマンションに風俗嬢がいたんですよ。その人が自分のオールヌードの生写真とかと一緒にブランド服とかをガンガン捨てていて。たくさん貰いましたよ。

──村崎さんだけでなく森園さんも、かなり「ゴミ漁り」通になってたんですね。

森園:何度かゴミ漁りやると、袋を開けなくても良い物が入ってるかどうか分かるんですよ。目が肥えてくるんです。でも村崎の場合は次元が違う。外に出るまでもなく、家に居る時に「ゴミが呼んでる」といきなり言い出して。そういう電波がくるみたいで。で、実際にゴミ漁りに行ってみると本当にイイ物が落ちてる。

──ゴミ電波!(笑)

森園:まさにゴミ電波ですね。村崎の感じた通りにエロ本が落ちてる。

──そんなすごい能力なのにエロ本ですか…。村崎さんにとってはイイ物なんでしょうけど(笑)。村崎さんのゴミ漁りといえば、エロ本やエロビデオだけでなく、若者の欲望・悩みが詰まった「情念ノート(※)」や女性物の下着など対象は多種多様でした。

 

伝説の鬼畜ライター「村崎百郎」の記念館が完成! 妻・森園みるくが語る鬼畜の素顔の画像5「情念ノート」は実際に手にとって閲覧することができる

 
森園:私が同行したころは、もう女の下着は拾わなくなってましたね。エロ本やエロビデオが中心。『まぼろし博覧会』にも村崎が拾ってきた女の下着が展示してありますけど、それは私が寝てる時にコッソリ一人で抜けだして拾ってきたか、むかし集めたものでしょうね。

──それは森園さんに対する一応の遠慮だったんでしょうか(笑)。しかし、それだけゴミを拾ってきたら量的に大変なことになってしまうんじゃないですか。

きめら:一度、森園さんが村崎さんの集めたエロビデオを捨てようとして、それが村崎さんにバレたことがありましたね。その時、村崎さんが私に「ひどいんだよ、聞いてくれよ! 俺が一生懸命集めたエロビデオが捨てられてんだよぉ! 森園の奴が捨てたんだよぉぉぉ!」と、ものスゴイ剣幕で激怒してました(笑)。

森園:怒ってましたね。拾ってきたエロビデオが溜まりにたまって山積みになってたんですよ。ものすごい量あったから、少々山から抜いて捨てても大丈夫かなと…。

──同じように見えるゴミでも、村崎さんにとっては大切な物だったと。

きめら:わざわざ私に言いにくるくらいショッキングな出来事だったらしいです。

森園:でも、普通は捨てるよねー(笑)。

──捨てることもできないとなると保管が大変だったんじゃないですか。

森園:一番多かったのは本なんですけど、本人が別にアパートを借りて倉庫にしていましたね。部屋が埋まるくらい本があって、全体が見えないんですよ。ワンルームの部屋なんですけど足の踏み場もなくて。借りた時はガランとしてたんですけど、あとで行ったら本が詰まった段ボールが山積みになってました(笑)。本人は部屋を移動するのに段ボールをよじ登ってましたよ。

──遺品の整理でも本が一番苦労されたんじゃないでしょうか。

森園:本はゴミかゴミじゃないか分からないものも沢山ありました。拾ってきた物と本人が買ってきた物の区別がつかない。作家の全集や英語の本、難しそうな魔術研究書関係、あとエロ本とかエロビデオは明治大学教授の藤本由香里さんを通じて大学で引き取ってくれるということで全部回してしまったんですけど。それでも信じられないくらいの量が残って。

※情念ノート:自作の詩や家計簿、将来の夢、悩み、ラブレターの下書き、日記などが綴られた、捨てた人間の情念がこもったメモやノートのこと。書いた経験のある人もいるだろうが、不思議なことに破って捨てられていることは少なく、他人が読むことを前提としていないためドロドロとした人間の内面がストレートに文面に表れている。これを拾って冷静に品評する村崎氏のスタンスはまさしく「鬼畜」の一言。あなたの情念ノートも村崎氏に拾われていたかもしれない。

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