レイプは微罪だった江戸時代


 ところが、同じレイプでも少女に対するレイプ行為は、打って変わって重罪が科せられていた。江戸時代の少女とは、一般的には10歳以下、『御定書百箇条』にような法律文書では14歳以下を幼年としている。とにかく、ローティーンの少女に対しては、レイプはかなり重い罰が下されている。

 たとえば、使用人の男が自分が仕える家の13歳の娘を強姦したところ、ペニスを切断された上に鼻をそぎ落とされる刑に処せられたという。「鼻そぎ」は見せしめの意味もあり、ペニス切断とあわせると考えようによっては死罪よりも厳しいものである。ほかにも、9歳の少女をレイプして死罪になったケースもある。

 現在でも、少女とのセックスは相応の処罰が定められている。13歳未満の少女については、同意の上であっても強姦罪が成立する。ただし、セカンドレイプについてはまだまだ少なくないようで、大きな問題として残されているようだ。

 ちなみに、強姦罪は女性が被害にあう場合にのみ適用されるというのが通説である。女性が無理やり男性にセックスを強要しても、強姦罪は成立しないと考えられている。ただし、成年女性が未成年男子とセックスした場合には、いわゆる淫行条例の対象となる。実際に裁判で成人女性が有罪となるケースも発生している。

 さらに、男性が男性をレイプして強姦罪が成立した、という事例も聞いたことがない。ただし、行為そのものを取り上げて強制わいせつで訴えるとか、負傷した場合には傷害罪で届け出る手があると聞いた事がある。だが、この先どんな法律解釈があるかわからない。今後の裁判事情を見守りたいものである。
(文=橋本玉泉)

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