『明日、ママがいない』放送中止要請騒動、日テレ内部は「視聴率爆アゲ期待」の歓迎ムード!?

『明日、ママがいない』放送中止要請騒動、日テレ内部は「視聴率爆アゲ期待」の歓迎ムード!?の画像1※イメージ画像:日本テレビ系『明日、ママがいない』公式サイトより

 15日にスタートした芦田愛菜(9)主演の連続ドラマ『明日、ママがいない』(日本テレビ系)に対する抗議騒動が波紋を広げている。ドラマのモデルになったと思われる「赤ちゃんポスト」を設置している熊本市の慈恵病院が「養護施設の子供や職員への誤解偏見を与える」と謝罪や放送中止を局に要請し、全国児童養護施設協議会も「いくらフィクションでも子どもや親、職員の人権を侵害している」として21日に都内で記者会見を開いて抗議を表明する予定。

 慈恵病院の蓮田太二院長は、スポーツ紙の取材に「日本テレビにお邪魔してお話をうかがって、物語がどういう内容か知りたい」と直接対決する意向を明かしており、近日中に放送倫理・番組向上機構(BPO)への審議申し入れもする予定だという。

 同ドラマは、さまざまな事情で親と暮らせなくなった子どもたちが集まる児童養護施設が舞台。第一話では、施設長が子供たちに「オマエたちはペットショップの犬と同じ」と言い放ち、里親に気に入られて引き取ってもらえるよう「かわいげ」を教え込むなど過激なシーンが続出した。また、施設長の平手打ちで鼻血を出した少女がバケツを持って立たされるなどの虐待シーンもあった。こういったシーンについて、世間が施設や職員の実態を誤解する恐れや、ドラマがきっかけで施設の子どもが学校でイジメられる危険性などが指摘され、今回の抗議騒動につながった。

 子どもの人権にかかわる問題なだけにドラマの打ち切りもあり得る事態だが、日テレ側は「子供たちの心根の純粋さや強さ、たくましさを全面に表し、子供たちの視点から『愛情とは何か』ということを描いていく。ぜひ最後までご覧いただきたいと思います」と放送続行を強気に表明。意外にも日テレに焦りはないようだ。

「日テレでは、05年に放送された天海祐希主演の『女王の教室』の過激な内容をめぐって視聴者から抗議が殺到し、スポンサーが広告出稿中止を検討する事態にまで発展したことがある。それでも日テレは放送を続行し、最終回は平均視聴率25.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と初回放送から10%以上も数字を爆アゲした。ドラマの内容が良かったこともありますが、抗議が結果的にいい宣伝になったといえます。今回の騒動でも、日テレ内部からは『これで視聴率が上がる!』と、むしろ抗議を歓迎する声まで漏れ聞こえてきている。他局でも視聴者から抗議が殺到したドラマは数多くありますが、基本的に『視聴率低迷』以外の理由で打ち切りになることはほとんどありません」(テレビ局関係者)

 抗議すら大歓迎とは、テレビ業界の視聴率至上主義も極まった感がある。だが、決して批判ばかりではなく、ネットを中心に施設の出身者から「自分も最初は職員が悪魔に見えた。ドラマは子どもの目線で描かれている」「酷いセリフもあるが、それは子どもが感じていた『社会の声』。むしろ言語化されたことが小気味いい」などといった擁護の声も上がっている。それどころか、抗議をしている病院や団体に対して「大人の立場を守りたいだけでは」といった批判まで生まれているようだ。

「多くの職員が子どもたちのために頑張っているのは間違いない。だが、ごく一部の施設で、子どもたちが虐待まがいの行為や職員による差別的な発言で傷付くことも少なからずあるのが現実。その一部の事案をドラマで描かれ、ネガティブなイメージがついてしまってはたまらないというのがホンネでしょう。しかし、それは単なる大人のメンツや立場の問題。施設の子どもが学校でイジメられるドラマ描写も問題にされていますが、それは実社会でもあることです。それを『存在しないこと』としてタブー化することに意味はあるのか。ドラマが本当に子どもの視点で問題を描いているなら、放送中止要請などするべきではない。このドラマによって児童養護施設や里親制度の“影の部分”に光が当たれば、子どもたちの幸せにつながる可能性もあるんですから」(業界関係者)

 視聴率優先のテレビ局も抗議する側も「大人の論理」で動いているフシがある今回の騒動。果たして、肝心のドラマは局がコメントしたように子どもの視点で「愛情とは何か」を描いた名作となるのか、単なる「差別ドラマ」になってしまうのか。まずは22日放送の第二回に注目したい。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops

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