江戸の街には「10代ヤリマン少女」と「非モテ男子」があふれていた


 このように、女性たちは10代前半からセックスの経験をさんざん重ねていたわけである。当時は17歳くらいまでに結婚する女性が多かったというが、それまでにすでにひと通りどころか十分な経験と知識を蓄えていたのである。

 一方、男のほうは女性のように勝手気ままにセックスを楽しむというわけにはいかなかった。まず、江戸の街は男女比で女性の数が少なかった。江戸中期ですら、男性の数が38万人程度に対して、女性の数が13万人ほど。さらに、モテる男はいわゆるイケメンやテクニックの長けた男たちに集中したため、あぶれた男たちが街中にゴロゴロしていた。そうした非モテ男子たちが、そのうっぷんを川柳に遺したり、あるいはフーゾクに走って梅毒に冒されたりという事態が頻出したという。

 その後、江戸後期の天明年間になってようやく女性の数が男性を上回るようになった。だが、それでも非モテ男子の状況が改善されることはほとんどなかったらしい。非モテとは、この頃からの社会現象として日本歴史の問題のひとつなのかもしれない。
(文=橋本玉泉)

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