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「人生から英語を締め出したい!」

英語恐怖症のアメリカ人の奇妙な物語


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 不思議サイト「トカナ」では、【シュルレアリスム、その後】という連載において、フランス文学者・澁澤龍彦が取りこぼした異端芸術にいつて調査を進めている。今回は、その中でも特に衝撃的な内容だった本記事をメンズ・サイゾーの読者にお届けしたい。


 いきなりだが、以下のセンテンスを正しく読める人はいるだろうか?

「Tu’nicht tréb über èth hé zwirn!」

 おそらく読める人はいないだろう。なぜならこの文章、フランス語、ドイツ語、ヘブライ語の単語を(文法的な正しさはいっさい無視して)組み合わせたものだからである。

 ちなみに内訳(?)は次の通り。

 Tu’nicht→ドイツ語

 trébucher→フランス語

 über→ドイツ語

 èth hé→ヘブライ語

 zwirn→ドイツ語

 しかしいったい誰が、何のために、こんな暗号のような文章を組み立てたのだろうか?


■謎のセンテンスに秘められた恐怖

 この世にも奇妙な文章の作者は、ルイ・ウルフソンというアメリカ人で、極度の英語恐怖症(統合失調症の一種)を患っており、アメリカ人にもかかわらず英語を一切使用しない。そのため、彼はすべての文章を独自のシステムを使って他言語へ翻訳しなければならないこととなる。

 ちなみに上記の一文の原型は、

“Don’t trip over the wire!”(針金につまずくな!)

 である。

 なんの変哲もない英語のセンテンスだが、統合失調症のウルフソンにとって英語は恐怖以外の何物でもない。

 というわけで、語感の似た、しかし意味のまったく異なる他言語に(たとえば英語のDon’t はドイツ語の Tu’nicht と、英語の trip はフランス語の trébucher と、英語のover はドイツ語の über と、英語の the はヘブライ語の èth hé と、 英語の wire はドイツ語のzwirnと発音が似ている)翻訳しなければならなかったのだ。


■逃れられない英語との闘い


wiruson.jpg
画像は、ウルフソン。「DAI」より


 1931年、ニューヨークで生まれたルイ・ウルフソンは、母親と同居し、英語恐怖症という【絶えざる恐怖】と戦いながら日々生活していた。

 たとえばウルフソンはほとんど一日中、フランス語やドイツ語など外国語学習をして過ごすが、理由はもちろん英語と接する機会を極力少なくするためである。

 ときどき市内の散歩も試みるが、そのときはもちろん万全の体制で臨むこととなる。携帯用短波ラジオに聴診器を接続し、耳から一切の英語を締め出すのである。しかし、こうしたさまざまな努力にもかかわらず、苦労することがある。それが食事だ。

 実は、ウルフソンの常食は缶詰。しかし、英語で記述されたラベルを読むことができないため、どの缶詰を選ぶかは「勘」に頼るしかないのである。その日の食事がツナ缶になるか、トマトペーストになるか、コンビーフになるか、あるいはスイートコーンになるか…。缶詰を開けてみるまで分からないのである。

 母親との確執もまた、ウルフソンの生活を困難にする一因になっている。なぜならウルフソンの母親は同居する息子の病気を快く思っておらず、大声で英語の歌を歌う、息子の外国語学習を嘲り笑う、など【絶えざる攻撃】をしかけてくるからである。


■突如訪れた意外な転機

 こんな異常な生活を続けながら、ウルフソンは自分の生活を詳細に記述した本を執筆することになる。タイトルは『Le Schizo et les langues(統合失調症と諸言語)』。フランス語で執筆され、英語を回避するための独自の翻訳システムなどが詳細に解説されている。(ちなみに序文は哲学者ジル・ドゥルーズによるもので、ウルフソンの文学的意義について熱く語られている)こうして、一見安定した人生を歩み始めたかのように見えた彼の人生だが、この後さらなる転機が訪れる。


■母の死、そして…

 著作刊行後しばらくして、同居していた母親が亡くなることになる。口うるさい存在だったとはいえ、ウルフソンの生活は実質上、母親によって支えられていたともいえ、生活の手立てを失った(著作物の印税は微々たるものだ)ウルフソンはいったいどうなったのだろうか? 狭いアパートでひとり孤独にひきこもっていた? それとも生活保護施設に強制収容された?

 答えはいずれもノーである。

 2003年にプエルトリコに移住したウルフソンは、なんと移住先で宝くじを当て、億万長者になったのである。

 果たしてこの転機が彼にとって幸せな結末だったのかは誰にもわからない。そして、人生も何が起こるかわからない。しかし、わからないことだらけだからこそ魅力的なのかもしれない。事実は小説より奇なりなのである!
(文=天川智也)

●動画は、ウルフソン本人の朗読を聞くことができる。また人気作家ポール・オースターも登場し、ウルフソンについて語っている。


Quelques images de Louis Wolfson 投稿者 Mediapart
動画は、「Dailymotion」より

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