つんく♂がAKBファンを批判? そのウラにモー娘。海外進出計画

tunku1007main.jpg※イメージ画像:『しょっぱいね』つんく♂/UP FRONT WORKS Z = MUSIC =

 モーニング娘。のプロデューサー・つんく♂(44)の発言が「AKB48ファンにケンカを売っているのでは」と物議を醸している。だが、そのウラにはAKBうんぬんを超えた“ある決意”があったようだ。

 今月2日、つんく♂はモー娘。のリーダー・道重さゆみ(24)と共にNHKの全編英語の海外向け音楽番組『J-MOLE』の放送400回記念会見に出席した。海外では日本のアニメやモー娘。を含むアイドルなどがウケているといい、その話題に関連してつんく♂は会見の席で独自のアイドル論を展開した。

 海外の日本人気について、つんく♂は「日本が大好きな人たちがいてくれるんですけど、すごいニッチな層だったりする。キワにいるから大好き、みたいな」と冷静に分析。さらに「アニメの主題歌のような曲を作って、アニメのコスプレのような衣装を着せて海外進出すれば、それなりにリアクションはあると思う。500人くらいのライブハウスだったらすぐにいっぱいになるかもしれんけど、そこから広げられるかどうか」とし、ニッチな層に向けた作品にするか、海外のメインストリームでも戦える作品で勝負するかという葛藤があると明かした。

 その上でつんく♂は「モーニング娘。の楽曲はニッチじゃない、いわゆるオタクと言われてない方に打って出られるはずという気持ちで作っている」と自身の作曲スタンスを説明し、モー娘。の海外活動を活発化させたいと意気込みを語っている。

 この発言の「ニッチ=オタク層」という言葉について、日刊ゲンダイの記事は「つんく♂の言う『オタク』層とは、AKBファンのことだろう」と解釈し、同紙は「『モー娘。はニッチじゃない』 AKBにケンカを売ったつんく♂の本音」と題した記事を掲載。「『モー娘。はオタク狙いじゃない』『オタク好みするアイドルはスターじゃない』と言い切った」などと記し、つんく♂のAKB批判が業界に波紋を広げるのではないかと記事を結んでいる。

 最近はモー娘。が再ブレイクしつつあることもあり、ファンからは「よく言った!」「宣戦布告やね」「モー娘。のレベルの高さはオタ向けのAKBとは違う」などといった賞賛の声が上がっている。その一方「今のモー娘。なんてハロプロオタしか聴いてない」「世間の認識はAKBが主流でモー娘。はオタ向け」「思ったほど売れないからって何をトチ狂ってるんだ」といった批判も起こっているようだ。

 また、「つんく♂の発言をどう解釈したらオタク=AKBファンになるんだ」「ゲンダイが勝手にAKB批判として書いてるだけ」「つんく♂の言ってるオタクって、日本アニメとか好きな海外のオタクのことでしょ」とゲンダイの解釈に疑問を呈するファンも少なくないようである。

「現場で聴いている限りは、つんく♂さんの発言はAKBファンを直接的に指したものではないように感じました。しかし、モー娘。の楽曲は海外のメインストリームで通用するつもりで作っているという言葉は、ほとんど海外で通用していないAKBや他のアイドルグループを揶揄しているともとれる。とはいえ、他のグループやファンを攻撃する意味ではなく、海外からの評価でグループとしての差をつけたいという気持ちが強いのでは」(芸能関係者)

 海外を意識した発言が目立ったつんく♂。モー娘。の人気に再び火がついているとはいってもプチブレイクといった感が否めないが、本当に海外進出に望みはあるのだろうか。

「AKBなどのアイドルグループの海外活動はアジア圏が中心ですが、モー娘。はフランスやアメリカ、イギリスで特に人気が高い。全盛期から現在に至るまで、高い人気をキープしています。フランスで開催されたジャパンエキスポなどでも、現地のファンで会場が満杯になっていました。一方、AKBの場合は制服姿の少女という時点でロリコン趣味がタブー視されている欧米では一般受けしにくい。しかもAKBは口パク前提のためアーティストとしても扱われず、立ち位置が微妙になんです。それに比べて、モー娘。は生歌にこだわりダンスのレベルも高いため、日本を代表するガールズグループとして受け入れられています」(アイドルライター)

 実際、モー娘。の海外人気は本物らしく、NHKのBSなどで放送されている全世界向け音楽番組『J-MELO』の海外リクエストランキングでも、モー娘。は2011年度のランキングでアイドルトップとなる第3位に入っている。1位のラルク・アン・シエルや2位のガゼットといった人気バンドに次ぐ順位であり、まさに日本の代表的なガールズグループとして認識されているようだ。

 オタク要素でお茶を濁すのではなく、海外で本気で勝負をしたいという意気込みが、つんく♂の今回の発言に真意といえるだろう。その目にはもはや、人気下り坂のAKBは映っていないのかもしれない。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops

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