「バニラセックス」ってなんだ!? 都内某所ではスタンダードな言葉のようだが…

vanillacouple0930fla.jpg※イメージ画像 photo by COUPLE DESIGN PROJECT from flickr

 私事で恐縮だが、先日ゲイタウンとして知られる新宿二丁目の飲み屋で談笑していた際、筆者の耳に「バニラセックス」という言葉が飛び込んできた。筆者にとっては初めて聞く言葉だったが、周囲の男性客たちは皆、当たり前のように「バニラセックス」という言葉を使っている。

 バニラセックスとは一体どのようなセックスなのだろうか? パッと思い浮かんだのは、バニラアイスクリームを身体に塗りたくるセックス。一般男女から意見を募ったところ、アイスクリームを身体に塗ってのプレイは広く親しまれているようだ。チョコレート味は美味しいかもしれないが、視覚的にスカトロを連想させる。その点バニラ味なら、視覚的にも問題ないはずだ。

 後日、二丁目に出入りする知人男性に、改めてバニラセックスの意味を尋ねたところ、筆者の想像とは全く異なる答えが返ってきた。「アイスクリームのバニラ味の如く、スタンダードなセックス」を、二丁目界隈ではバニラセックスと呼ぶらしい。バイラアイスクリームをカラダに塗りたくるわけではなかったのだ。

 ここでふと頭をよぎったのが、「スタンダードなセックスのことを言いたいのなら、いちいちバニラセックスという造語を用いなくてもいいではないのか?」という疑問。アブノーマルなセックスを何らかの造語で表現するのはうなずけるが…。筆者の疑問に対して知人男性は、「アナルファックがないなど、おもしろみのないセックスを指す、見下げた表現」と説明してくれた。

 なるほど、段々バニラセックスが何たるかがわかってきた気がする。アイスクリームのバニラ味は、確かにスタンダードだが、おもしろみがないとも言える。我が身を振り返っても、アイスクリーム店に行ってバニラをオーダーすることはほとんどない。例えば今の季節ならマロン味やカボチャ味など、なんらかの味がついているものを選んでいる。

 話を戻そう。ゲイ男性の間で使われているバニラセックスという造語を、異性愛者同士のセックスに置き換えるとしたら…どのようなセックスをバニラと呼ぶのだろうか? 筆者の知人男性は、「アナルファックがないなど」という例を挙げてくれたが、異性愛者にとってアナルファックはだいぶハードルが高いプレイである。よって、「アナルファックがないセックス=バニラセックス」という解釈にしてしまうと、ほとんどの人のセックスがバニラということになってしまう。では、異性愛者にとってのバニラセックスとは、どのようなセックスを指すのだろうか? 

 一般男女を対象に意見を求めたところ、圧倒的に多かったのが「キスのないセックス」とのこと。確かに、本命の恋人同士ではない場合、セックスはしてもキスはしないスタンスの人も存在する。キスを愛情表現として捉えているためなのだろう。キス=前戯の一環として捉えている人にとっては、キスを拒まれるセックスがおもしろくないと感じるのも当然かもしれない。

 次に、オーガズムが得られないセックス。相手だけイッて自分がイケないセックスが面白くないのかと思いきや、それだけでなく「自分はイッたが、相手はイッていないセックス」をつまらないと感じる人が多いようだ。稀に、「自分がイクことは重視していない、女性がイク姿を見るのが好き」と主張する男性もいるが、女性たちにとっては「おもしろみのないバニラ男」という認識なのだろう。

 なるほどと思ったのが、「すぐにハダカになるセックス」という意見。「獣じゃないんだから…」とのことだった。最終的には全裸になって肌を重ねるのがセックスの醍醐味ではあっても、さっさと脱ぐのは情緒に欠ける。日本人らしい考え方である。

 何をバニラセックスと思うかは、人それぞれ個人差があるだろう。スタンダードが悪いわけではないが、アナルファックまでいかずとも、おもしろみのあるセックスができるオトコでありたいものだ。
(文=菊池美佳子)

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