【フィリピーナのつぶやき】ピーナは「ずるい」や「ケチ」が嫌い

zruionnna0903fla.jpg※イメージ画像 photo by Guj Tungpalan from flickr

「ダヤ(ッ)」(ずるい)

 いろんな場面で使われる言葉だ。カードや麻雀をしていてズルをした時、家でアイスクリームを一人で舐めている時、買い物に行って自分の服だけ衝動買いしてしまった時、などなど。

 「ダヤ(ッ)・モ」は、(あんたは、ずるい)だ。きつい言葉で投げかけられたり、睨まれながら言われたら、「何でだよ」と反論してしまうが、甘い声で言われたら、けっこう楽しめるシチュエーションが、待ってたりもする。

 ピーナは「ずるい」や「ケチ」が嫌いだ。自分がそう思われることは、もっと嫌いだ。だから「ダヤ(ッ)」を上手く使うと、奢ってもらったり遊びに連れて行ってもらったりと、楽しんで親しさが増すことにもつながる。

 「ヒンディ・アコ・ダヤ」(わたしはずるくないよ)と言ってコーヒーでも奢ってくれれば、そこで話す機会ができる。もちろん、その後に奢り返さなければならないが。

 日系企業の専務をしていたS氏は、「ダヤ」と言われて2度メイドに逃げられた。

 S氏は頭の切れる人物で通っている。堅物ではないが、イエス・ノーをはっきりと言い、顔も効くが恐れられてもいる。米国の大学を卒業後、フィリピンの大学で講師をしていた。そこで知り合ったピーナと結婚。子供は一人。現在59才だから、30数年の在住になる。

 奥さんも仕事をしているためか、一人でアパート生活。土曜日には、子供と奥さんの待つ家へ帰る、という生活を続けている。メイドを雇っているが、堅物でないS氏は当然のこと(?)に、セックス付きだ。

「女房に給料は全額渡して、30万だけ俺が貰う。だから、俺が何をやっても文句は言えないんだ」

 と、大きな口を開けて笑っていたが、なるほどそういう手もある。それなりの給料を得なければ、出来ないけど。

 3年ほど前の出来事だが、ある日S氏の所へ遊びに行くと、メイドが変わっている。

「メイドさん、変わったんですか?」

「あっ…ああ。ははははっ、時々変えたほうがいい。ははは…」

 と言う。

「なるほど…」

 お盛んだなと思った。

 数日後、俺の住むビレッジで、その辞めたメイドとバッタリ出くわした。

「あれっ…いまどこにいるの?」

「ロード18のRさんのところ。」

 フィリピン人の家で、メイドをしているという。

「そう。何で辞めたの?」

 何気なく聞いたことに対して、返ってきた言葉が、

「ダヤ・エ・シャ」(あの人ずるいんだもん)…だった。少なからず驚いた。イメージとは違う。

 家が近いせいもあって、そのメイドと度々会うことがあった。親しくなって下半身ジョークも出るようになったとき、彼女は言った。

「あはははっ…思い出した」

「何を?」

「Sさん…早いのよ。」

「早い?」

「あはははっ、早く終わっちゃうのよ。ダヤ・エ…」

 S氏は、早漏だったのだ。

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