「東の狂犬VS西のジャックナイフ」加藤浩次と千原ジュニアの確執の原因はケンコバだった!?

niketu0325.jpg※イメージ画像:『にけつッ!!2』よしもとアール・アンド・シー

 ダウンタウンと爆笑問題のように、テレビで活躍する売れっ子芸人たちの中には、嘘か誠かわからない都市伝説的に語られる共演NGというものがある。その原因はさまざまだが、たいていは単に共演の機会がなかっただけというものや、お互いの芸風から視聴者やファンが勝手に思い込んだ結果にすぎないものが多い。つまり実際は、別に共演NGでも何でもないというパターンがほとんどで、周囲の過剰な気遣いが得体の知れない空気を生み出しているにすぎないのかもしれない。

 たとえば、加藤浩次(43)と千原ジュニア(38)といえば業界内でも有名な共演NGの関係。しかし昨年初頭に『人志松本の○○な話』(フジテレビ系)の中で、ジュニアが「加藤さんに会ったら謝りたい」と発言したことをきっかけに、その後『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)で共演を果たし、20年という時を経て和解したという経緯がある。

 詳細を知らない読者のために説明すると、ジュニアの言った「謝りたいこと」というのは、当時、大阪と東京の若手芸人が名古屋のライブハウスでネタ対決をするという企画で、千原せいじ(43)と浦井(やるじゃねぇかーず=現在は解散)が殴り合いの喧嘩を始め、それを止めに入ったジュニアもヒートアップしてしまい、さらにそれを止めようとした加藤と揉めてしまったということ。若くて血気盛んだったジュニアは、止めてもらったのにひどい対応をしてしまい悔やんでいるという。騒動後、共演はおろか会うことすらなく、謝る機会のないまま時が経ち、やがて自然発生的に加藤とジュニアは共演NGという尾ひれがついてしまったというわけだ。

 そもそも、せいじと浦井のケンカが発端にもかかわらず、加藤VSジュニアという構図で語られるようになったこの騒動。やがてファンやスタッフの間で語られるようになっていき、2人の共演NG説は業界内で有名となっていく。しかしその要因は何だったのだろう。

 若いころの加藤といえば、誰にでも噛みつく狂犬キャラで人気を博していた。一方、ジュニアといえばジャックナイフという異名の持ち主。東の狂犬と西のジャックナイフが殴りあいのケンカというほうが、せいじVS浦井というよりはるかに興味がそそられる。きっとそんなファンの希望的観測ともいえる心理が働いて、加藤とジュニアの確執は徐々に既成事実として認知されてしまったのだろう。ファンにとっては、そうした芸人同士の微妙な関係というのも楽しんでしまうものなのかもしれない。

 そして、そんな2人の長年の確執の原因を作ったのは実は俺だったんですと語ったのが、当時同じ現場に居合わせていたケンドーコバヤシ(40)。コバヤシは、22日に放送された『加藤浩次の金曜Wanted!!』(TBSラジオ)の中で、一連の騒動について触れ、事の真相をこう説明する。

「せいじさんと浦井さんは異常に仲が悪くて…(中略)その名古屋のライブのときに浦井さんが俺らに『コーヒー飲むか?』って言ってくださって。それで『はい、いただきます』って言ったら(中略)せいじさんが『そんなヤツのコーヒー飲んだら、胃、腐るぞ』って言ったんです…(中略)次の瞬間、浦井さんが8メートルくらいジャンプしてせいじさんに殴りかかったんですよ。せいじさんも泡食って、何が起こってるのか分からず、馬乗りでボコボコに殴られて、そこにジュニアさんが入ってきて…(中略)ジュニアさんも自分の兄が殴られているから爆発してしまって…」

 その後、ジュニアと浦井のケンカを止めたのが加藤で、なぜかそれが加藤とジュニアの揉め事のようになってしまったとコバヤシは語る。そして、「だから原因は俺なんですよ。俺があのときコーヒーいただきますなんて言ってなかったら…」と笑いを誘った。当の本人である加藤も、その真相はこのとき初めて聞いたようで、「そうだったんだね」「若かったからしょうがないよ」と、まだまだ今のように東西の芸人が交流する機会の少なかった時代を懐かしむようにうなずいていた。

 騒動以降、お互い順調に売れっ子となった加藤とジュニアだが、なぜか不思議なほど共演することがなく、やがて語られるようになった共演NG説。その真相も、聞いてみれば単なる勘違いや若気の至りという程度で済まされることといえる。しかしそんな他愛ない真相も20年という時を経て明かされればファンならずとも興味深いところ。今のテレビバラエティを牽引する中堅芸人たちもすでにデビューから20年あまり経つ。加藤とジュニアの確執の原因が明かされたように、これだけ多くの芸人が活躍しているのだから、他にも時が経ったことで語ることのできる過去というものも多いだろう。芸人同士のプライベートな人間関係というのはなかなか表に出ないが、テレビを通して身近になった彼らの微妙な人間関係というのもなかなか興味深い。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
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