【現役セックスワーカーの素顔と本音】バツイチホテトル嬢のセックス観・後編

hotetol1228.jpg※イメージ画像 photo by Alexetism from flickr

※前編はコチラから

 子どもの頃に読んだ『ぼくらのSEX』がきっかけで性に対して興味を持ち、10代後半でのロストヴァージンを経て、「一生涯かけてセックスを極めたい」と決意したD子(現在20代後半)。スカイプでセックス相手を募り、経験人数を増やしていく一方で、3年間付き合った大学の同期男性と結婚。しかし結婚生活は長く続かず、1年半で離婚届に判を押すこととなった。

 原因は、D子の浮気だった。と言っても、夫が嫌いになったわけではない。夫は、決してイケメンというわけではなかったが、人間的には非常に魅力ある人物だった。しかし、「恋愛は1対1で行うもの」という感覚が、D子には元から無かったのだ。彼氏がいても夫がいても、いいなぁと思える男性が現れればセックスをする。それはD子にとってごく自然なことだった。いや、男性ばかりではない。D子はバイセクシャルで、女性とのセックス経験もあるという。

「中学から高校まで女子校で、中学の時に好きになった女の子のことは、高3まで好きでした。結局、成就しませんでしたが」

 実際に女性と肉体関係を持ったのは大学に入ってからだった。

「大学3年の時に、1年生のコと付き合っていました。社会人になってからも、カラダだけの関係なら2人くらい経験しています。オンナ同士は(お互いのカラダをわかっているので)探り合いがないのがちょっとつまらないかな」

 夫との離婚に話を戻そう。セックス観がどうであれ、原因はD子にあるのだから、慰謝料を払うのはD子側ということになる。もしや、風俗で働くことになったのは慰謝料のためか? 

「いえ、違います。でも、風俗の仕事に就くことを後押ししてくれたのは夫でした」

 D子の夫には、行きつけの風俗店があった。夫はアナルに関心があったが、アナルに興味のないD子に無理強いするようなことはなく、ちょくちょくホテヘルを利用していたのだ。その店は、全ての嬢がアナルOKではなかったが、在籍者のうち何名かがアナルに心得があった。

「元々、風俗の仕事に興味があったんです。娼婦と巫女は人類最古の職業っていうくらいですし」

 これまたD子らしい考え方だ。元々興味がある仕事で、夫の行きつけなら安心感もある。

 こうしてD子は、離婚をきっかけにホテヘルの仕事をスタートすることになった。今年の夏のことである。興味のあった仕事とはいえ、面接は緊張した。

「怖いオジサンに面接されるのかと思っていたんですけど、実際には普通でしたね。入店してからも、商品として大事にしてくれています」

 面接と同じくらい緊張するのが、初めて客に就く時だろう。初回は、ホームページの写真を気に入ってくれた人が指名してくれた。いきなり指名とはラッキーだ。いざプレイに入ると、やや特異な嗜好を持った客で、叩かれたり噛まれたり、出血するほどだった。だがD子は、「まぁ、こんなものかな」と受け入れることができた。実にポジティブである。

 もちろん、変わった客ばかりではない。客に感謝することもしょっちゅうだ。ある時、客への釣銭を忘れてチェックインしてしまったことがあった。通常は、支払いは店と客の間で行われるが、その時はD子本人が受け取ることになっていたのだ。店に電話をして釣銭を届けてもらうまで20分以上もロスしてしまった。「2度と指名されることはないだろうな」と凹んだが、1カ月後再び指名してくれた。嬉しかった。こういったことがあるから頑張れるのかもしれない。

 風俗の仕事を続けるにあたって、ほとんどの女性が気にするのが、性感染症だろう。D子も、定期的に検査を受けているという。

「お金を貰う以上、身体の状態をチェックするのは当然のことです。万が一気付かずにお客さんに移してしまったら、お店の信用に関わりますし」

 自分のことよりも、客や店の信用を気にするあたりも真面目なD子らしい。

 店の信用といえば、禁止されている本番行為に関しても然り。

「内緒で本番を行なって、ネット掲示板に書き込まれたりしたらお店の価値が下がるので絶対にしません。本番ナシで、どこまで勝負できるかって部分にやりがいも感じますし」

 最後に、今後の目標を聞いてみた。

「風俗の仕事は、身体が資本ですから、長く続けられないことはわかっています。それまでにお金を貯めて、シェアハウスをオープンさせたいですね」

 いま流行りのシェアハウスだが、D子が思い描くシェアハウスは一風変わっていた。

「私のようなバイセクシャルや、同じセックス観を持つ人と暮らせたらいいなあって思っています」

 一朝一夕で実現できる夢ではないと思うが、真面目でしっかり者のD子なら、近い将来実現させることが出来るだろう。
(文=菊池 美佳子)

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