人気ミュージシャンが錯乱状態になった「脱法ハーブ」の正体とは

※イメージ画像 photo by HolyHerbPlant from flickr

 1日午前11時半ごろ、東京・渋谷のホテルで「男性が暴れている」と通報があった。警察が駆けつけると、ロックバンド「andymori(アンディモリ)」のギターボーカル・小山田壮平(28)がロビーの床で横になり、足をばたつかせていたという。救急車で運ばれたが命に別条はなく、小山田は「脱法ハーブを吸った」と警察に話している。

 2007年に結成されたandymoriはデビュー直後からブレイクが期待され、09年に『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』『SUMMER SONIC』など大型フェスに初出演し、今年5月に発売された4thアルバム『光』はオリコンチャート8位を記録。「ロキノン系」を支持する10代を中心に人気を集めており、「神聖かまってちゃん」らと親交が深いことでも知られる。

 脱法ハーブによる騒動と見られており違法行為ではないが、ネット上では「脱法ハーブで錯乱ってダサい」「ライブハウス規制が強まってる時に軽率すぎる」といった厳しい批判が起きており、「ミュージシャンとしては大麻で捕まった方がマシ」といった過激な意見も見られる。

 近年、急速に広まった脱法ハーブは「大麻の代替品」として扱われていることが多いが、実際は完全なケミカルドラッグ。ハーブ類を中心にした植物に、法をすり抜けた合成ドラッグを吹き付けて製造されている。ハーブが登場した当初は、医療大麻の代替品として開発された「合成カンナビノイド」が使用されていたが、たび重なる規制で医療用で使われていた成分が使用できなくなり、最近は効果は強いが安全性が全く考慮されていない成分が混入されており、作用も大麻とは違ったものになっている。

 もはや当初の「大麻の代替品」という触れ込みとは全くの別物になってしまったハーブは、脱法でありながら精神・肉体作用が違法薬物以上に強まっている物も存在する。そのため「大麻の偽物」だと侮って気軽に吸った使用者が痛い目を見るケースが急増しているようだ。本人の健康被害や暴れて迷惑を掛ける程度ならばまだしも、ハーブを吸った状態で車を運転し、暴走した挙げ句に通行人に大ケガを負わせた事例も起きている。

 薬物による錯乱といえば、主演映画『BRAVE HEARTS 海猿』が今年大ヒットした伊藤英明(37)にも苦い経験がある。01年に当時違法ではなかった「マジックマッシュルーム(幻覚キノコ)」を食した伊藤は幻覚症状に見舞われ、近くのコンビニに駆け込んで助けを求めて救急車で搬送される騒動を起こした。「お母さん助けて!」などと叫んでいたとも伝えられており、事件を知る者にとって彼は「情けない醜態をさらした俳優」というイメージが今でもつきまとっている。この直後にマジックマッシュルームは法規制されており、伊藤の事件が引き金になったといわれている。

 違法行為ではないとはいえ絶対に推奨はできない脱法ドラッグ。最近は10代の若者やサラリーマン、OLまでが気軽に購入しているが、ショップですら全ての成分は把握しておらず身体への影響は何の保証もない。さらに芸能人の場合は健康被害だけでなく、取り返しのつかないイメージダウンにも見舞われてしまう。くれぐれも安易に手を出さないようにしてもらいたい。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops

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