【現役セックスワーカーの素顔と本音】探偵ときどきソープ嬢・後編

inbuth0928.jpg※イメージ画像 photo by Michaël Pineault from flickr

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 15歳で、「好きでもないけど嫌いでもない」塾の数学講師と初体験を迎えて以来、数人との肉体関係を経て九州から上京したC子。探偵業を志し、そのスキルを磨くべく演劇学校にも通った。その後、「変化」を求めてソープランドに入店した。

 我々一般人の感覚では、ピンサロやヘルスなど「本番」のない形態の風俗店を経て、最終的にソープランドへ行き着くケースが多いように感じる。この点に関してC子は、「かけひきが面倒なんですよね」と即答した。

「『内緒で本番させて』とか『先っぽだけ挿れさせて』っていう要求を断るのが面倒な気がして(笑)。ソープランドなら、最初から本番ありきだからわかりやすいでしょ」

 キャバクラやガールズバーを考えなかったのも同じ理由だという。確かに、「もしかしたら店外デートやアフターでエッチできるかも」という幻想を抱く男性客は多いだろう。そういったアプローチをのらりくらりとかわすのは性に合わないと判断した。

 では、ソープランドの中でも今の店を選んだ理由はどこにあるのだろう? ソープといっても、大衆店から高級店まで千差万別である。

「ソープといえば吉原ってイメージだったので吉原にしました。当時住んでいたマンションからも近かったし」

 近いから吉原……まるでコンビニバイトのような感覚である。なお、C子が勤務するのは中級店。彼女の容姿なら高級店でも充分に通用すると思われるが、店を変える気はないらしい。

「他のお店を探すのも面倒だし、今のお店は店長さんやスタッフさんも話しやすい人ばかりで居心地がいいから」

 ぶっちゃけキモいオッサンが来ることもあるだろうが、驚いたことにC子にはそういった概念がなかった。

「お客さんをキモいと思ったことは1度もありません」

 といっても、C子は聖女ではない。男性を、イケメンとかブサイクとか、細かく小分けしていないだけなのだ。イケメンだろうとブサイクだろうと大雑把に「男性」として捉えているので、「キモい」という気持ちが沸かないのだろう。

 そう考えると、ソープ嬢という仕事も、C子にとっては天職のような気がする。しかしC子は探偵業も辞めてはいない。探偵を続けながらソープランドでも働く、二足のわらじ生活だ。

「探偵の仕事でいやなことがあったりすると、ソープのお客さんに愚痴ることもありますよ」

 常連客には、本業が探偵であることをカミングアウトしているそうで、客たちは信じているのか冗談だと思っているのか、C子の話を面白がって聞いてくれるという。

「冷蔵庫や洗濯機を買ってくれるお客さんもいるんですよ」

 ずいぶん実用的だ。風俗嬢が受け取るプレゼントといったら、ブランド品やアクセサリーというイメージだが、彼女はそういったものに全く興味がないとのこと。取材場所に現れた彼女のファッションを見ても、洋服もアクセサリーもそのへんの女子大生と変わらないラフなスタイルだった。

「(稼いだお金は)九州のお母さんに生活費を送るくらいで、ブランド品にもホストクラブにも興味がないんです。だからといって貯金が趣味ってわけでもない。ただ、残高が増えていく感じかなぁ」

 20代の女の子とは思えないくらい達観しているC子。これといった趣味もなく、当然のことながら恋愛体質でもないらしい。それでも、好きな芸能人を訊ねると「玉木宏さん!」と、イマドキな答えが返ってきたので、なんとなく安心させられた。また、飼い猫の話をしている時の彼女は、どこから見ても普通の女の子。このギャップが彼女の魅力なのかもしれない。そしてその魅力が存分に輝くステージが、探偵業であり、風俗業なのだろう。
(文=菊池 美佳子)

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