ネットの嫌われ者から一転…品川祐が復活!? 芸人発掘工場『アメトーーク!』の実力

shinaga0914.jpg※イメージ画像:『品川食堂』ワニブックス

 13日に放送された人気バラエティ『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「どうした!?品川」企画が話題を集めている。番組恒例の芸人プレゼンで東野幸治が発案したこの企画は、品川庄司の品川祐にスポットを当て、「今はすっかり丸くなってしまった品川に昔を思い出して欲しい」という意図によるもの。品川のこれまでの芸歴を「ギラギラ期」「調子ノリ期」「どうした期」に分け、まるで韓流スターのようになってしまった今の品川をギラギラしていた昔の品川に戻そうという内容だ。

 視聴者の多くが抱いていた品川への思いを、出演芸人たち(特に東野)が次々と代弁し、裏付けていくトークに番組は大盛り上がり。ネットでの評判も上々のようで、「久々に笑った」「ヒット企画w」などといったコメントが散見する。まだ見ていないという読者がいれば、ぜひネット動画などにも転がっているのでチェックしてもらいたいほどだ。

 また、番組終盤に登場した品川本人も、別室のモニターで見ていた感想を、「ただの3種類の嫌なヤツじゃん」と発言するなど自虐的にまとめ、十分笑いを取っていた。最終的には相方の庄司智春と共に昔の自分を取り戻すため坊主になった品川。あれだけネット上で嫌われていた品川だったが、放送終了後からは、そのネット上でも、「品川うける」「やるな」「また見たい」など、好意的な意見に迎えられるようになっていた。

 過去には、ブラックマヨネーズの吉田敬に『ブラマヨとゆかいな仲間たち アツアツっ!』(テレビ朝日系)の中で、「本当に嫌なヤツだった」と言われたことのある品川。本人も自覚はあるようで、次長課長の河本準一や宮川大輔に嫌われていたことを認めるほど。そうした余波はネットユーザーにも浸透したようで、品川関連のニュースが配信されれば、「うざい」「面白くない」「早く消えろ」と罵詈雑言が飛び交うほどだった。

 そんな嫌われ者だった品川には、テレビ関係者からも総スカンを食っているというウワサまで流れ、しまいには、「干された」報道まで出る始末。真相を探れば、ただ単にテレビの仕事が減ったというだけで、干されたというほどのことはないものの、確かにテレビでの露出は激減していた。ただ、あえて言えば、干されたというより、単に品川という芸人が、そこまでの実力だったということに尽きる。イジられることを極端に嫌い、誰彼構わず節操なく、雰囲気も読まずに、ただがむしゃらに目をつけた相手をイジる品川は、番組に必要とされなかったのだろう。

 しかし今回の「どうした!?品川」企画で、これまで相手をイジることでしか笑いを取ってこなかった品川が、イジられるという武器を持った。そうした品川の変化に、多くのネットユーザーらが反応し、好意的に受け止めたに違いない。もちろん、いまだにアンチ品川は多いかもしれないが、イジられることを許容し、それに品川がうまく対応していけば、おのずと世間の見方もこれまでとは変わってくるだろう。新生品川には大きな期待を寄せたい。

 これまで、ケンドーコバヤシ、有吉弘行、博多大吉、サバンナの高橋茂雄など、数々の芸人たちをブレイク、再生させてきた『アメトーーク!』。今年で10周年を迎えた同番組は、新しいバラエティの形を確立したと言われるほど、歴史に名を残す名プログラムだ。しかし、10年もの長きに渡って常に人気番組だったわけではない。視聴率の低迷する時期もあれば、評判の芳しくない時期もあった。事実、その制作者であるテレビ朝日の加地倫三プロデューサーは、2012年1月に配信された「オリコンスタイル」のインタビューで、「終演の危機を覚えた」ことがあることを語っている。それが具体的にどんな理由からかはわからないが、それまで「ひな壇芸人」や「中学のときイケてない芸人」「家電芸人」などの企画をヒットさせながら、なかなかそうした良企画に恵まれなかった時期が続いたからだろう。企画そのものの行き詰まりということだ。

 しかしそれでも『アメトーーク!』は現在も放送され続け、昨日の「どうした!?品川」企画のようにヒット作を出せば話題を集める。つまり、『アメトーーク!』という番組は、危機に瀕しながら、その都度名企画にめぐり合い、息を吹き返してきたわけだ。芸人たちのブレイクや再生のきっかけを与える番組として有名な『アメトーーク!』だが、番組そのものも彼らを輩出することで人気を保っているのだ。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
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