性的暴行・五輪・デリヘル・生活保護・二度の離婚…今井メロが波乱万丈の半生を激白!!

merobooks0918.jpg※イメージ画像:『泣いて、病んで、でも笑って』双葉社

 12歳で史上最年少プロスノーボーダー認定を受け、2006年には18歳でトリノオリンピック出場を果たした今井メロ(24)。五輪出場が決定した当時「ガンガンズンズングイグイ上昇♪」と歌う「メロラップ」も話題になった彼女は、競技生活を終えてからもマスコミの注目を浴び続けた。大阪での風俗嬢報道や、第二子出産後の生活困窮ぶりなど、バッシングとも受け取れる「近況調査記事」は断続的に取り上げられている。それだけ世間に強烈な印象を残したアスリートだったということでもあるが、本人的にはあらぬウワサを書かれて遺憾に思うこともあっただろう。「自分の言葉で説明したい」と、初の自伝『泣いて、病んで、でも笑って』(双葉社)を21日に上梓する。そこにはトラブル続きの彼女の半生がリアルな言葉で綴られている。

 1987年、大阪で二人の兄に次ぐ長女として誕生したメロ。5歳の時に両親が離婚し、ファッションカメラマンの父の元で育った彼女は、兄弟ともども父の指導を受けスノーボーダーとしての才能を開花させる。しかし父の指導はスパルタで、毎日が特訓の日々。子どもらしく遊ぶことは許されず、小学校では友達もできずイジメにあっていたという。同書では、あまり明晰ではないという幼少期の記憶から、オリンピック出場当時の葛藤や戸惑い、夜の世界で働いていたこと、二度の妊娠・出産と結婚・離婚について赤裸々に明かしている。

 「トリノオリンピック」「レイプ」「夜の世界」「リストカット」など、トピックス別に章立てられているため時系列で把握しづらいが、彼女の半生は実に波乱万丈である。中学三年生の時、厳しいスノボ練習に明け暮れる日々に疑問を感じ「普通の女の子として当たり前の環境」を与えてくれない父親に恨みを募らせた彼女は、家出を繰り返し、自ら「お父さんにぶたれて怖いんです、助けてください」と訴えて児童保護施設に入所する。施設から中学に通い、やっと家族から解放されたと安堵したのも束の間、過呼吸状態に陥ることが頻発して精神科病棟に入院することになった。通常、自分が精神科へ入院するとなればどこか不安な気持ちがあるだろうが、彼女はそこを「施設よりももっと安心できる場所」と回顧している。親が面会に来ても、拒否することができるからだ。それほどまでに彼女は、家という居場所から抜け出したがっていた。

 結局、生家に戻ったメロだが、17歳の時に近所で三人組の男にレイプされてしまう。その傷も父親には打ち明けることができず、トレーニングに嫌気が差していた彼女はもう何年も会っていなかった実母の元へ身を寄せることになる。そして父という偉大な指導者の元を離れてのトリノオリンピック出場。結果は予選敗退で、ここからメロはおよそ一年の引きこもり生活に突入。レイプ後に初めて行ったリストカットを繰り返すようになり、自傷癖がついてしまったのもこの頃だという。

 いつまでも家でダラダラしているメロと実母は、当然のごとく衝突。彼女は家を出て、大阪の繁華街でキャバクラ嬢として働くようになった。キャバクラからクラブ、ラウンジへと店を変え、なかなか楽しく過ごしていたと回想しているものの、一方でホストクラブ通いにハマり、選手時代に貯金して手をつけていなかったスポンサー料などを使い果たしてしまったという。金遣いが荒くなっていた彼女は「友人の結婚式で見栄を張りたい」という理由で、デリバリーヘルスでのバイトも始める。わずかな期間だったというが、これが週刊誌にバレた。ショックを受けたメロは再びのリストカット……。昨年、自身のブログでデリヘル嬢疑惑を「事実無根」と否定していた彼女だが、実際には短期間だったとはいえ風俗で働いたことは事実だった。

 さらに彼女のことを好きだと言い寄ってくる数々の男性との恋も描写されており、小6にして初カレと甘酸っぱい恋、18歳で初エッチ、19歳でラウンジのお客である実業家と純愛、20歳で「お前のためにホストやめる」と言わしめたイケメンホストと交際するも中絶……まるで流行ケータイ小説さながらの過激な内容だが、その先も彼女の人生には波乱が次々押し寄せてくる。22歳で妊娠、結婚するが、翌年には夫婦喧嘩が絶えなくなり離婚。元夫との関係を相談していて親密になった年下男性と再婚し、第二子を妊娠・出産。その夫とも今年8月に離婚し、現在はシングルマザーだ。第二子出産に伴って上京した際、生活に困窮して生活保護を受け取っていた期間があることも包み隠さず明かしている。

 壁にぶつかるたびに、「泣いて、病んで」でも乗り越えてきたメロ。ただ彼女の生き方は客観的に見れば行き当たりばったりで見通しが甘く、計画性に乏しい。一時の感情に流されて、180度振り切れた方向に走ってしまう。それを止めてくれるはずの家族との信頼関係も構築されていない。かといって周囲に相談しても誰も助けてはくれず、「自業自得」とバッシングされてしまう……そんな彼女の「生き辛さ」が、「どうしたらいいのかわからない」という叫びが、同書からは痛いほど伝わってきた。

 幸いにして現在は守るべき二人の子どもを手にし、新たな仕事の目途もついているという。過呼吸や感情の起伏の激しさは「統合失調感情障害」という病気によるものだということも最近になって発覚し、治療に励んでいるそうだ。これからの彼女の人生が明るいものになることを祈ると共に、そのためにも移ろいやすく脆弱な彼女の心を周囲の人間が支えてあげてほしいと思う。
(文=ヒポポ照子)

men's Pick Up