【ネットナンパ】ザギンのホテルで昼下がりの情事

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来週、丸一日自由な日があります。
良かったら銀座あたりで食事なんていかがでしょう? 
 
実際にお会いしてショーイチさんのお話をいろいろ伺いたいです。
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 銀座とは随分とまたハイソな街を指定してきたもんだ。だが、彼女にとって銀座はよく出かける場所であり落ち着くのであろう。この時、すでに何十通もメール交換をしていたのである程度の事情はわかっていた。彼女の旦那さんは歯科医であり、それなりにお金を持っていそうであった。まぁ、ありきたりな表現だがいわゆるセレブ妻ってやつだ。

 本来なら安いラブホテルがたくさんある新宿や池袋あたりでデートしたかったが、向こうからの提案にケチを付ける訳にはいかない。それに、ここまでのメール交換でかなり突っ込んだエッチの話もしている。だからとにかく会ってしまえばなんとかなるという確信もあった。

 そんな訳で平日の午前11時に銀座で待ち合わせすることになった。場所柄いつものくたびれたジーンズとTシャツで行くわけにはいかなかったので、着なれないサマースーツに身を包む筆者トコショー。うーん、我ながら七五三みたいな感じでどうにも似合わない。

 早めに銀座に到着したので、デパートのトイレで歯磨き開始。落ち着いて身支度を整えられるよう、あえてレディース服を販売しているフロアの男性用トイレを利用したのである。それでも何名かの男性客にジロジロと見られてしまった。だが、そんなの関係ない! 初対面のセレブ妻に好印象を与えるためだったら恥ずかしがってなんていられないのだ。

 歯磨き後、口臭消しスプレーをシュっとひと吹き。肩にフケが落ちていないかチェックして、ウエットティッシュで顔の油を拭き取る。いつもはここまでしないのだが、セレブ妻とタダマンできる可能性があるのだから嫌でも気合いが入ってしまうというものだ。

 準備完了後、待ち合わせ場所のデパートの入り口に立つ筆者。街ゆく女性がみなセレブ女性に見えてしまう。流石銀座である。どの女性も普段の筆者とは縁遠い世界の住人のようだ。

 そんな雰囲気に気押されまいと気合を入れ直していると、時間ちょうどにさゆりチャンがやってきた。

で、できる!
スキがないぞ、この女。

 あらかじめ写メを何枚か貰っていたものの、やはり実物の迫力は違う。化粧、髪型、アクセサリー、洋服、鞄、靴と全てにスキがないのである。いかにも裕福そうな奥さんである。身につけているものは全て高価そうなのだが、実に自然に着こなしているのだ。

 一方筆者の格好は上下合わせて一万円足らずのサマースーツである。靴にいたっては2千円ほどの合成皮靴だ。住んでいる世界が違い過ぎる! だが、そんな相手だからこそこのチャンスを逃したくない。まずは先手を取って主導権を握るべきだ。意を決して語りかけはじめた。

「うわっ! 写メで見るよりも何百倍も綺麗だね」 
 
「えっ、そ、そうですか」 
 
「うん。それに、その洋服や髪型も素敵だから、銀座という街によく似合ってるよ」 
 
「フフ、ありがとうございます」

 当たり障りの無い会話を連発する筆者。とにかく沈黙が怖かったのである。そんな会話を交わしながら、さゆりチャンの希望していたカフェに到着。いかにもオシャレな造りだ。店内に入ると、男性客は皆無。昼時なのにお客は女ばかり、しかも目移りしてしまうほどイイ女だらけであった。

 居心地の悪さを感じながらも、通された席に着く。だがココで雰囲気に飲まれてしまっては負けである。他の席から時折向けられる視線を無視して、さゆりチャンとの会話に集中する。今から考えると単なる自意識過剰だったのかもしれないが……。

 手慣れた感じでサラダとパスタを注文するさゆりチャン。筆者もパスタを選びたかったが、スプーンとフォークを器用に使ってお上品に食べる真似なんてできそうにもない。そこで筆者はスプーンだけで食べることができるドリアを注文したのであった。

 食事が進むにつれ、なんとかペースを取り戻した筆者。会話の方向性を少しずつエロ方面に持っていく。もちろん声を極力抑えながらだ。

「やっぱりSEXでイったことがないだなんて、人生を損しているよ」 
 
「そ、そうなんですか」 
 
「うん。ノーマルなSEXしかしたことがないって言ってたけど、今まで付き合ってた人にエッチな人はいなかったの?」 
 
「うーん、どういうのがエッチな人なのかよくわからないです。でも多分みんな普通だったと思いますよ」 
 
「そうかぁ。でもそうした人達のエッチでもイけなかったんだよね」 
 
「そうですね。イくっていうのがわからないし、エッチの気持ち良さもわかってないかもです」 
 
「じゃ、じゃあメールでも話してたけど、俺で試してみるってのはどうかな?」 
 
「……」 
 
「いや、今日はこのまま食事してサヨナラでもいいんだけどね」 
 
「せ、せっかくだからお任せします」 
 
「うん。じゃあ食事が終わったらホテルに行こうか」 
 
「は、はい」

 内心でガッツポーズ! それからしばらくして、トイレに立つ筆者。トイレに向かう振りをして、携帯電話を取り出しホテルに予約の電話を入れる。

 銀座近辺にはラブホテルが無いのである。普通のシティホテルしか存在しないのだ。だが、こうしたホテルのうち幾つかはデイユースというサービスを実施しており、昼の12時から夕方18時くらいまでの時間限定で部屋を利用することができる。デートの前日にそうした下調べをしていたので、目ぼしいホテルの番号を携帯に登録していたのであった。そして首尾よく当日利用の予約を取ることに成功。そのレストランから徒歩5分の所にある外資系のホテルだ。

 何食わぬ顔で席に戻り、食事を終えて店を出る。ホテルまでの道のりは、昨日googleマップのストリートビューで予習済みだ。そのおかげでスムースにホテルまでエスコートすることができた。

 ホテルに入るとさゆりチャンをロビーのソファに座らせてフロントに向かいチェックインの手続きをとる筆者。予約していたことを悟られたくなかったのである。フロントでカードキーを受け取り、さゆりチャンの所へ戻る。

「部屋、取れたよ」 
 
「はい」 
 
「ん? 緊張してるのかな。取りあえず部屋に入って落ち着こうか」 
 
「はい」

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