抗議殺到の『めちゃイケ』、新メンバーの存在意義は?

mechaike0620.jpg※イメージ画像:フジテレビ系『めちゃ×2イケてるッ!』公式HPより

 今月9日に放送された『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)に抗議が殺到しているという。番組がその日放送した内容は「酒豪No.1は誰だ!決定戦」という企画。過去、2003年にも、メインMCを務めるナインティナインの岡村隆史の誕生日に合わせて同様の企画が放送されている。残念ながら、当時の反響については調べがつかなかったが、関連団体による抗議文の提出や謝罪の要求といった批判はなかったのではないだろうか。この違いがどうして生じたのかは不明だが、やはり、テレビバラエティーへの世間の視線が日に日に強くなってきている証拠だろう。

 そうは言っても視聴率は平均で16%以上と、近頃のバラエティ番組にしては非常に高い数字を獲得している今回の酒豪企画。まだまだ『めちゃイケ』が元気だったころの復刻企画だったことから、古参のファンが注目した結果かもしれない。

 しかし、その中身といえば、以前放送されたシンプルでバカバカしい酒豪企画とは違って、「新メンバーとオリジナルメンバーとの絆を深めよう」という明確なテーマがあった。それゆえ、上下関係のようなものが目立ち、「アルハラ(編注:アルコールハラスメントの略)ではないか」「強制的だ」という批判を呼んでしまったことは否めない。

 特に、「打席が少ない」と弱音を漏らしたジャルジャル・福徳秀介や、「どうしていいかわからない」と現状への不満を述べた敦士らに対して、オリジナルメンバーの加藤浩次が激しい言葉を浴びせるシーンなどは、新旧メンバーの間に深い溝があることを露呈していたし、どこか高圧的な印象があった。

 とはいえ、そういったやり取りこそが今回の酒豪企画のテーマそのもの。やはり、制作サイドとしては、あくまでも、これまで目立った活躍をしてこれなかった新メンバーの奮起を期待しているということに違いない。

 番組開始当初から縦横無尽に活躍してきた、絶対的エースで守護神・岡村の突然の離脱という窮地を脱するために選ばれた新メンバー。しかし、その選出は急場しのぎにしては、あまりにも本格的なメンツで、しかも心配された岡村の復帰も案外と早かった。岡村の不在がもう少し長引けば、新メンバーの活躍の機会は広がっていたに違いない。が、しかし当の岡村が復帰したとなれば、その力の差は明らかだ。おのずと彼らの存在意義自体が問われるようになってしまった。

 だが、さすがに今さら「はいさようなら」というわけにもいかない。スタッフとすれば、新メンバーの爆発を期待するしかないだろう。そして、そのカンフル剤として期待されたのが今回の酒豪企画だったわけだ。

 そんな企画にも関わらず、やはり新メンバーの影が薄かったのはあまりにも残念。たんぽぽが若干存在感を示したが、後は不平や馴れ合いの連発で何も面白いシーンはなかった。視聴後にはやはり、「そもそも新メンバーっている!?」という感想しか残らない。

 批判続出の企画であっても、高い視聴率を記録できるのが『めちゃイケ』という番組の強み。それは昔ながらのファンが根強くいるということだ。そんな根強いファンの多くが昔を懐かしんでいるのは、今回の復刻企画が高視聴率だったことからも明らかだ。だが同時に、古くからのファンが新メンバーへの不信感を募らせていることも忘れてはならない。つまり、今の『めちゃイケ』は、「新メンバーを推したい」制作サイドの思いと、「新メンバーってどうなの!?」と思っているファンという、矛盾によって成り立っているのが現状だ。

 番組開始から16年以上という歴史は、それ自体がネタになり始める時期といえる。今回のように懐かしの企画にスポットを当てれば、きっと高い数字を叩き出すに違いない。しかし、スタッフの思惑を考えれば、懐かしの企画にトライするのは新メンバーの誰かになるだろう。当時の岡村のパワーが凄まじかっただけに、単純な代役というわけにはいかないが、どんな角度でも熱意を見せれば昔ながらのファンもきっと認めてくれる。そうなったときこそ、本当の新生『めちゃイケ』の誕生だ。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
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