【ニッポンの裏風俗】アジアン風俗~二極分化する中国エステ~

DSC00372cyzo.jpg錦糸町にあった中国本番エステ。20代後半の女のコの肌はスベスベだったが、マッサージはお世辞にも上手とは言えない

 日本が世界の中で果たしてきた経済や優秀な工業製品を牽引する役目を担う、アジアの新興国が台頭し始めている。そして、国内の風俗界でも同様、中国、韓国風俗に小さくない変化が起きている。

 
二極分化する中国エステ

 夜とは限らず夕方から早朝まで、歓楽街を歩いているとかならずと言っていい程見かけるのが、「オニサーン、マサジ行キマスカ?」なんて声かけて来る大陸系エステのオネエちゃんたちだ。全国の歓楽街を取材して歩いてみると、「日本一多い風俗は大陸エステ?」とさえ思えて来るほどの数とバイタリティーに驚かされる。

 90年代半ば、『韓国エステ』として登場し、マッサージに手コキがついて1万円程度というお手軽さで広まった大陸系エステだが、それはやがて、『中国エステ』に取って代わった。そして、その数が増えるに従いサービスは過激になり、手コキの代わりに、

「モット気持チイイサービス、イチマンエン」

 と、本番までできるのが常識となっていった。

 そして現在、大陸エステは二極分化が進んでいる。
 
 ひとつは従来通り、マッサージ+手コキのある中国エステだ。料金相場は60分5,000~8,000円で、街中で声をかけて来るオネエちゃんの店の多くはこちらに入る。カードのスキミングや現金の抜き取りといった悪質店もあったが、当然淘汰された。今では貴重品用の防水袋が用意してあり、シャワー室に持って入れるなど、安心をアピールする店も多い。

 そしてもう一つは、本題の裏風俗であるデリバリーエステだ。HPの写真にはいまだにスタイル抜群のサイボーグみたいな女のコが載っていて、実際に現れるのは三十路、四十路のオバちゃんの場合もあり、この辺はまだ要注意のレベルと言ってもいい。しかし、人気のポイントは日本人風俗にはないそのお手軽さだ。

 料金は60分8,000~1万円程度で、“デリバリーエステ”と表記されていても実際には、部屋代として1,000円追加するだけで、受付奥の個室で遊べる本番箱エステだったりする場合もある。さらに、レンタルームと提携して、格安の部屋を用意してくれたりと、違法ではあるが客の側に立ったサービスを用意している。

 新宿の隣、今は韓流タウンとして有名な新大久保には、若い女のコのマッサージから本番まで付いて100分たったの8,000円という人気の中国デリエステもある。ちょんの間がほぼ壊滅してしまった今、「とにかく安く本番したい」という男性には、1万円足らずでヌケるお手頃な風俗として、格安風俗の上位常連となっている。

サービスからスマイルまで変わった韓国デリヘル

 サイボーグみたいな女のコの修正写真は、中国エステだけでなく韓国デリヘルでも常套手段だった。さらには、在籍していない韓国の無名モデルの写真を無断で使用するなど悪質なデリヘルも多く、韓国デリ=振替え店という図式が完全に定着していた。

 ところが現在、鴬谷発の韓国デリのHPを見ると、写真だけでなく女のコの動画を載せているところが非常に多い。客は、信憑性の薄かった写真と、加工のしようがない動画を見比べて、実際の女のコを想像することができるようになっている。

menscyzo061333.jpg鴬谷の某デリヘル。相場より5,000円安い韓国デリを見つけて呼んだら、
本番は結局追加5,000円だった。写真の信憑性は70点というところ。

 風俗で働く韓国の女のコには、美容整形してかわいく変身しているコも少なくない。さらに、基本で本番があり、中には生中出しできるコがいることを考えると、若くてカワイイ女のコと80分2万円でそこまでできるなら、日本人のデリヘルに行くよりオモシロいと考えるのもうなずける。

 しかし、本番以外の基本サービスはどうなのか?

 以前は、キスはNGか、しても軽いキスのみ。フェラは当然ゴムだし、せいぜいやってくれることといえば乳首舐めや全身リップ程度。時間がたっぷり残っているにも関わらず2回戦はしないで早上がりなど、日本の風俗の常識を全く考慮せず、料金にも見合っていない“ただヤルだけ”のちょんの間的サービスだったものが、同様に改善されてきていることも事実だ。

 中には、女のコの方から2回戦を誘って来るサービス精神旺盛な女のコや、店を通さずに個人営業のためメアドを交換する女のコも増えている。

 かつて、アイディアと技術力で日本経済が世界の中で躍進したように、今の大陸系風俗は、劣っている部分を速やかにフォローして顧客のニーズに歩み寄る努力と柔軟さを持ち始めている。押し寄せる新興勢力に圧倒されない様、日本の風俗も客目線に立つ姿勢を学ばなければいけない。

 次回は全国の一発屋旅館を巡ってみよう。
(文=松本雷太/著書『超おいし~日本全国フーゾクの旅』宝島社)

【ニッポンの裏風俗 バックナンバー】
第1回 昭和初期にトリップしたかのような街並み、大阪・飛田新地
第2回 顔見せが無くても人気の新地…大阪五大新地
第3回 政治に翻弄された沖縄風俗
第4回 四国裏風俗ルポ 香川・徳島・高知
第5回 四国裏風俗ルポ・松山
第6回 生駒新地
第7回 全国のポン引き地帯
第8回 本サロ、本ヘル
第9回 温泉コンパニオン
第10回 お手頃料金で遊べる温泉風俗
第11回 連れ出しスナック
第12回 アングラな風俗街として認知されてきた青線

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