「あげまん」「さげまん」の見分け方

※イメージ画像:『あげまん<Blu-ray>』/東宝

 「あげまん」とは、揚げた饅頭のことではない。伊丹十三監督の映画にもあるが、セックスした相手の運気を上げる女性を「あげまん」という。折りしも、時は平成の大不況……どうせセックスするなら、運気も上げたいところである。

 さて、「あげまん」とはどういう女性を指すのか? これは決して、性器が綺麗なピンク色をしているからあげまんだとか、膣の締まり具合が良いからあげまんということはない。そもそも、性器の色に対する価値観は十人十色。ピンク色の膣を良しとする人もいれば、黒ずんだ色合いの膣を好む人もいるだろう。締まり具合にしても然り。たしかに、世間では、締まりの良い膣がベターというイメージではある。女性誌などで膣圧を鍛えるトレーニングやグッズなどの特集が組まれることも増えてきているようだ。だが男性の中には、「ゆったりとした膣のほうが癒される」という人も少なからず存在する。男性用オナホールなどにも、ユル系と呼ばれる類のものが売れ行きを伸ばしていたりする。時間をかけてたっぷり楽しみたいという男性に支持されているようだ。
 では、どのような性器が「あげまん」なのだろうか? 本当に、セックスによって運気が上がることはありうるのだろうか? 歴史的な「あげまん」といえば、皇帝ナポレオンの最初の妻・ジョゼフィーヌが挙げられる。浮気放題の奔放な女性だったとのことだが、彼女を離縁したことによって、ナポレオンの運気は急降下。あれよあれよと玉座から引きずりおろされ、島流しとなってしまったのだから、結果論としてジョゼフィーヌは「あげまん」だったということになる。だからといって、浮気放題の女が「あげまん」とは言い切れないだろう。ほか、ジョゼフィーヌの逸話として有名なのが、睡眠中のナポレオンの鼻先にブルーチーズを持っていったところ、「ジョゼフィーヌよ、今夜は勘弁してくれ」と寝言をいったという笑い話が残っている。では、陰部が匂う女性が「あげまん」ということなのだろうか? ナポレオンのように、匂いフェチの男性にとってはいいかもしれないが、運気を上げるために陰部が匂う女性とセックスするのは考えものである。

 男としては、「あげまん」だけでなく、「さげまん」の特徴もおさえておきたい。ただでさえ不景気で懐事情の厳しい昨今、セックスによって運気が下がるなど、まっぴらごめんである。一般的には、「依存度が強い女性」「仕事や男友達との予定にいい顔をしない女性」などが漠然としたさげまんイメージだろう。しかし、そういった女性と継続的に肉体関係を交わしている男性に話を聞いたところ、「重いオンナやネガティブ思考の女性とセックスしたからといって、運気が下がったということはない」のだそう。ナポレオンと同様に、歴史的さげまんに倣って考えてみよう。おそらく、ほとんどの人が「傾国の美女・楊貴妃」を連想するのではないだろうか。楊貴妃と出会う前の玄宗皇帝は名君であったというが、彼女を寵愛しすぎたことによって大規模な反乱が起き、国を乱してしまった。さて、肝心の楊貴妃の特徴であるが、なんと陰毛が足まで届くほど長かったという説がある。身体の仕組みから考えると、信憑性が低い言い伝えではあるが、当時の唐の国は、「陰毛が長いほうが美人」とされていたようだ。よって、「足に届くほど」とまではいかなくとも、ボーボーにしていた可能性は高い。といっても、陰毛の処理をしていない現代女性が「さげまん」とは決めつけられない。

 女性のことばかりではなく、願わくば自分自身も「あげちん」でありたいものである。「貴方とセックスしてから、ちっともツイていないわ!」などと言われてしまうのは情けないものだ。なお、巨根だから「あげちん」とは限らないし、反対に短小だから「さげちん」ということはない。古代には、巨大な男性器を模した像やディルドが「縁起物」として崇拝の対象とされていたこともあったが、生身の人間とは別物として捉えたほうが良いであろう。巨根で有名な歴史上の人物というと、ロシア・ロマノフ王朝の怪僧ラスプーチンが有名であるが、彼を取り立て、肉体関係にあったとも言われているアレクサンドラ皇后は、ロシア革命で銃殺刑になっている。巨根=あげちんでない、何よりの証であろう。

 「セックスで運気が左右される」など、もちろん科学的根拠はいっさいない。しかし、「あげまん」「さげまん」などの言葉が存在しているということは、何らかの影響があるのかもしれない。自分にとって、どのような女性・どのようなヴァギナが「あげまん」であり「さげまん」であるのか、それは人それぞれかもしれないが、もし「このオンナとセックスするようになってから、いまいちツイていない気がする」という場合は、セックスパートナーのチェンジを検討してみてはいかがだろうか? 
(文=菊池 美佳子)

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