南極観測隊が使用したのは「南極1号」ではなかった?

nankyoku1gou1215.jpg※イメージ画像:『南極1号伝説』/著:高月 靖/バジリコ

 TBS系列で放送されている木村拓哉主演の連続ドラマ『南極大陸』が、視聴率低迷だとか内容的にはなかなか面白いとか、いろいろ話題になっているようだ。だが、今回はドラマの話ではない。

 南極観測隊でしばしば話題になるのが、いわゆる「南極1号」と呼ばれるダッチワイフのことである。その手かがりとして、第一次南極越冬隊(南極予備観測隊)の隊長だった西堀栄三郎氏の著書、『南極越冬記』(岩波新書・1979年)に「人形」という記述が登場することから、観測隊員が性欲処理に持参し、使用していたのではないかと噂された。ただし、この噂は70年代初頭からすでにいろいろな方面で確認されているので、『南極越冬記』が元ネタというわけではなさそうである。そして、本当に隊員たちが持参・使用したかどうかも定かではない。

 ただ、いわゆるダッチワイフ、今日でいうラブ・ドールはかなり古くからあったようである。日本古来のアダルトグッズなどを解説した、中野栄三氏の『珍具考』(第一出版社・1951年)には「胴人形」というものが紹介されている。人形に女性器を模した「吾妻形」と呼ばれるグッズを装着したものという簡単な解説だが、続けて「外国では空気枕式に折畳みが出来て船員などが携帯するのが早くから有」ったと述べられている。

 さらに、小池創之介氏による『性具と性風俗』(五光社・1952年)にはイラストつきでやや詳しい解説がされている。

「折り畳み式の等身大のゴム人形であって、性具まで、チャンとゴムで出来ているし、電気仕掛けで暖めて、体温と同様にすることもできる」(同書96ページ)

 まさしく、日本で長らく市販されているラブ・ドールと構造的にほぼ同じものと考えられる。

 ただし、ここで注目したいのはラブ・ドールのほうではない。『性具と性風俗』によれば、明治時代に行われた南極探検では、性欲の処理としてペンギンが「愛玩された」というのである。

 明治時代に実施された南極探検といえば、日本陸軍の白瀬矗(しらせ・のぶ)中尉を隊長とした南極探検隊のことである。この件については、ウィキペディアの「獣姦」の項にも引用されている。ただし、その事実を裏付ける確たる証拠や証言などは確認されておらず、噂や憶測の域を出ていない。さらに、ペンギンを対象とした獣姦についても、筆者は浅学の至りで未だその実例を聞いたことがない。

 白瀬隊は単なる南極上陸だけでなく、数々の調査研究活動を行ったという点で評価されている。もし、ペンギンに対する獣姦が事実だとして、その体験が何らかの形で残っていたとしたら、それはそれで非常に貴重な資料になっていたかもしれない。
(文=橋本玉泉)

『フリース着ぐるみ! ペンギン!』

 
ペンギンファックか……

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