イメージ先行CMに要注意!? 業界関係者が明かすテレビCMのウラ事情

 3月の震災以降、テレビCMの様相が変わってきている。特にその変化が顕著なのは大手パチンコ機器メーカーのCMだ。以前であれば「CR○○」といって、新機種の宣伝に力を入れていたメーカー側も、8月1日から施行されたパチンコ・パチスロの広告規制の問題からか、「エンターテインメント」や「笑顔」といった類の抽象的な表現で、業界のイメージアップを図ったようなテレビCMを展開している。もちろん新しいキャラクターを要した新機種の宣伝がないわけではないが、大手パチンコ機器メーカーが足並みをそろえるようにイメージ先行型のCMを流し始めたのはなぜだろう。エンターテインメント業界に詳しいライターが答えてくれた。

「やはり震災の影響が大きいのではないでしょうか。都知事選の街頭演説で石原慎太郎が『パチンコなんて電気の無駄。やめちまえ』と言っていましたが、電力不足で節電が叫ばれる中、パチンコに対する世間の目は厳しかったですから。業界とすれば、少しでもイメージを良くしたいと思っているのでしょう」(エンタメ系フリーライター)

 またテレビ広告に詳しい業界関係者は、パチンコメーカーのほかに、ここ数年話題になっている消費者金融と法律事務所のCMについてこんな話をしてくれた。

「ここ10年あまりで飛躍的にテレビCMを増やしているパチンコメーカーと消費者金融と法律事務所ですが、一見何の関係もないように思える3者は、いずれも強い結びつきがあると言われています。つまり、パチンコ屋でお金を使い、お金がなくなったら消費者金融で借りて、ついに首が回らなくなったら債務整理のために法律相談事務所に行くという構図です。もちろんその当事者は視聴者であり、収益を上げた各メーカーは、さらにテレビCMを展開するというわけです。現在では、消費者金融やパチンコのCMに放送時間帯などの規制があり、以前ほどこの3者のループは強調されなくなりましたが、深夜のテレビCMなど、まるで人生の縮図を見ているようにも思えてきます」(業界関係者)

 消費者金融のCMが全盛だった2000年代前半、大手消費者金融業者各社は、さわやかで好感の持てる自前のキャラクターを前面に出しテレビCMを展開した。その背景には、00年に提言された民放連のさまざまな自主規制の緩和があるといわれている。そしてその規制緩和の対象となった広告主がパチンコ機器メーカーでもあったわけだ。さらに01年には弁護士や司法書士といった人々による広告が解禁されている。奇しくも同じ時期にテレビCMを堂々と展開できるようになったパチンコメーカーと消費者金融と法律相談事務所。当時、これらのテレビCMを手がけた人々が、前出の関係者が指摘した相互依存の関係を把握していたかどうかは分からないが、現状3者に強い結びつきがうかがえるのは事実だろう。

 とはいえ、いずれのCMも今では減少傾向にあると前出の関係者は指摘する。

「業界全体の低迷に加えて、ここ数年来続いた大手消費者金融の破綻が3者のバランスを崩したのではないでしょうか。そこにきて3月の震災は、あくまでも余剰産業であるパチンコメーカーに大きな打撃を与えました。そんなわけでここ最近パチンコメーカーがイメージ先行のCMを流しているのは、まだ芽の出ていない世間からのバッシングを未然に防ごうとしているのではないでしょうか。以前、”金貸し”というイメージを払拭しようとした消費者金融と同じというわけです」(前出)

 この関係者は、パチンコメーカーがイメージ先行の素敵なCMを流すのには、世間からの非難を未然に回避するためではないかと指摘する。そういえば、東電や東京ガスなどのCMにも胸にグッとくるような素敵な演出を施したイメージ先行型が多い。これらの組織もまた、世間からのバッシングを未然に防ごうとしているのだろうか。原発処理問題で揺れる東電を見ていると、そんな気がしないでもない。

(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)

『B.L.T.CM GIRLS Vol.3』

 
可愛いコのCMなら許せたり…

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