新しい風はNHKから!? 松本人志がコント番組をスタート

 昨年秋に放送された松本人志×NHKによるコント番組『松本人志のコント MHK』が、11月から月1のレギュラーで放送されることが発表された。全5回の新番組では毎回違ったゲストを迎える様子だが、昨年に引き続く形でレギュラー化の決まった『MHK』。松本とNHKのタッグは、コントの出来不出来に関わらず大きな話題を呼ぶことだろう。

「松本人志とのコント番組もそうですが、近頃のNHKは、業界を驚かせるような番組を多く作りますよね。大胆な露出で話題を集め、今秋には映画が公開される鈴木京香主演の『セカンドバージン』や、時代劇をドキュメンタリータッチで見せる『タイムスクープハンター』など、次々に既成概念を打ち破る作品を送り出しています。今や新しいものはNHKからという印象ですよ」(業界関係者)

 NHKは2005年から番組育成プロジェクト『番組たまご』をスタートさせている。前出の関係者が指摘した『タイムスクープハンター』も、このプロジェクトから生まれたものだ。このプロジェクトからは、ほかにも、『サラリーマンNEO』や『着信御礼!ケータイ大喜利』『笑・神・降・臨』『ブラタモリ』といった今でも続く人気番組が生まれている。

「2004年に起こった職員による番組制作費の不正拠出問題で視聴者の信用を大きく失ったNHKは、その信頼回復のためにと、視聴者の意見を存分に取り入れた番組を制作することを決めました。その際に立ち上げられたプロジェクトが『番組たまご』だったのです。新しい発想の番組を企画し、視聴者からの意見も反映して今後のレギュラー化につなげようというのが『番組たまご』の主旨です。新番組の構想そのものをプロジェクト化することによって、『とりあえずやってみよう』という感じで放送に踏み切れるわけですね。まあ、それもこれも全て潤沢な予算が確保されているという実情があってこそです」(放送関係者)

 受信料収入だけで6,500億円以上の売り上げがあるNHK。この金額は、民放キー局(日本テレビ、TBS、テレビ朝日、フジテレビ)の総広告収入に匹敵する。もちろん各局の事業収入は広告だけではないから、単純に比較することはできないが、NHKの莫大な予算は民放各局とは比較にならないといえるだろう。そして、この「予算」と「収入」の違いこそが、昨今のNHKの躍進を支えているのではないかという。

「たとえば車のメーカーがスポンサーについているドラマの場合、その作品の中で交通事故などを取り扱うことはタブーとなっています。つまり、民間企業であるテレビ局は、どうしたって収入の大半を占めるスポンサーに頭が上がらないということです。一方で、受信料制度のNHKには、そういった制約がありません。公序良俗を乱さない限り、国民のためと考えられるものであれば何でもOKなわけです。地上アナログ放送終了に伴い、受信料契約の解約の申し出が9万件を超えたという最近報じられましたが、それでも、世の中の経済状況に左右されやすい広告収入と比べれば安定していますからね。NHKが新しいブームを作り出しているというのは、当然のことかもしれません」(前出)

 1999年に始まった『爆笑オンエアバトル』は、2000年代初頭に巻き起こった若手お笑い芸人による空前のネタブームを牽引。2003年には、今なお続く韓流ドラマ人気の先駆けとなる『冬のソナタ』を放送したNHK。前出の関係者が指摘するように、予算やスポンサーに左右されないNHKの番組には、世の中に新風を吹き込む力があるのかもしれない。11月から始まる松本の新番組には、とんでもない嵐を巻き起こしてほしい。

(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)

『松本人志 仕事の流儀』

 
コントのプロ松本の言葉

amazon_associate_logo.jpg

men's Pick Up