ネット上に出回る芸能界と暴力団の”蜜月”の確かな証拠

 山口組幹部との交際を理由に、芸能界を突如引退した島田紳助。一部で引退を惜しむ声がある一方で、社会的影響力の大きいタレントが暴力団と交際していたのであれば引退は当然という見方も強く、警察庁の安藤隆春長官が1日の定例会見で「芸能界も暴力団との関係遮断を実現しなければならず、警察も支援をする」と述べるなど、芸能界から暴力団勢力を排除すべきとの声は強まっている。

 だが、古くは美空ひばりが3代目山口組の田岡一雄組長と蜜月の関係だったという有名な事実もあり、芸能界は昔からヤクザとの関わりが深いことで知られる。紳助の引退によって暴力団との交際に風当たりが強まり、戦々恐々としているタレントも少なくない。

 暴力団と芸能人の交際は週刊誌やスポーツ紙のゴシップ記事だけでなく、ネット上でも「映像」という動かぬ証拠で確認することができる。

 一時期、動画サイトYouTubeで大きな話題になったのは、現在は引退した大物組長G氏の誕生会の映像。1998年ごろに撮影されたものと言われ、組関係者などに配られるビデオがネット上に流出した。元フォーリーブスの江木俊夫が司会を務め、千葉真一、小林旭、内藤やす子、天地真理、綾小路きみまろ、安岡力也、中野英雄、薬師寺保栄、清水健太郎、せんだみつお、格闘技K-1の創始者・石井和義、当時は存命中だったアンディ・フグらが出席し、G氏に祝いの言葉を贈る場面が映されている。

 歌手でもある小林旭や内藤やす子は、挨拶に続いてヒット曲を熱唱する歌謡ショーのようなサービスぶりを見せ、綾小路きみまろは得意の漫談でG氏を褒めたたえながら会場の爆笑をさらっている。きみまろは、いつものヘアスタイルではなく頭髪が寂しい状態で出席しており、やはり大物組長の前では”脱帽”しなくてはならなかったのか……と変な部分も気になってしまう。

 また、2004年に撮影されたとされる、山口組二次団体のH会長の誕生会動画も出回っており、ロックミュージシャンの内田裕也、先日他界したジョー山中、桑名正博、俳優の吉川銀二、『サラリーマン金太郎』などで知られる漫画家・本宮ひろ志らが出席している。Vシネマを中心に活動する吉川は、紳助との深いつながりが取りざたされている元プロボクシング世界王者・渡辺二郎と俳優・羽賀研二が逮捕された恐喝未遂事件で現場に一緒にいたとされ、事件への関与を疑われた人物(嫌疑不十分で不起訴)でもある。紳助の”黒い交際”を裏付けるひとつの証拠とも言えるのかもしれない。

 この動画には、普段は破天荒な態度で知られる内田が神妙な面持ちでステージ上で靴を脱ぎ、裸足で踊りながら熱唱するシーンも収録されているが、紳助事件の後に削除依頼が入ったとの情報も流れており、動画の削除を申請したのは内田側の関係者といわれる。暴力団との交際を裏付ける映像がネットに存在することに危機感を抱いての行動なのだろうが、一度ネット上にアップされた動画は無限に拡散するため、現在もタイトル名などを変えて動画は出回っている。

 このように流出動画だけでも、芸能界と暴力団の関係は根深いことが分かる。本当に芸能界が暴力団との関係を断つことなど可能なのだろうか。

「普通のタレントならば暴力団と関わりを持たずにいることも不可能ではありませんが、地方で興行を打つ演歌歌手やVシネ系の俳優などは、ヤクザとの関係は切っても切れない。残念ながら、芸能界はそういうところです。とは言え、紳助は暴力団をバックに土地やビルの売買をしていた疑惑もあり、それが事実ならば、他のタレントとヤクザの関わり以上のもの。悪習とは言え昔からの歴史がある興行の世界と、紳助のような悪質なタイプは分けて考えることも必要なのかもしれません」(実話誌ライター)

 果たして紳助の引退は、芸能界の本腰を入れた暴力団排除運動につながるのだろうか。

(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops

『山口組三代目 田岡一雄自伝』

 
田岡組長、かく語りき

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