背徳感? 嫉妬心? ”人妻”はいかにして現在の性的地位を確立したのか?

 エロカルチャー界の常識として、「日本人男性は少女嗜好である」というのはがあった。しかし、今では、手を出すと不貞の罵りを受ける”人妻”という、本来禁断であったはずのジャンルがとにかくアツいという。現在発売されているAV・エロ本などに欠かすことができないこの”人妻”。貞淑だと思っていた妻が、夫の前では決して見せない痴態によがり狂うさまを見るのが好きだという人、夫以外の男性に抱かれている、という背徳感に包まれながら行われる情事に興奮するという人など、その嗜好も多岐に渡る。

 しかし、なぜ人妻は現在エロカテゴリーの上位に位置するようになったのか。それを多彩な資料、関係者の証言を交え、歴史的・文学的な観点から解説しているのが、『なぜ人妻はそそるのか?』(メディアファクトリー)だ

 著者は”バブル焼け跡派”を自称し、アダルトから政治思想まで幅広い随筆で知られる本橋信宏氏。本書では、残された創作物などから第2次世界大戦後に変わり始めた社会と人妻の関わり、人妻がなぜエロジャンルのカテゴリーのひとつとして確立したのかを読み解いている。

 特に人妻が性的対象として取りざたされ始めたのは、第3章「蒸発する女と団地妻」で書かれている、日活ロマンポルノが誕生した頃からではないだろうか。本書によると、テレビが一般家庭に普及しはじめ、一気に斜陽産業へと追いやられていた映画界。そんな中、倒産直前の大映映画や東映映画が悪戦苦闘するなか探し当てたのが松坂慶子、池玲子らといった女優を起用してのお色気映画であった。そして、一筋の光のごとく舞い込んだお色気路線に特化する形で生まれたのが1971年に公開された上記の「団地妻 昼下がりの情事」だ。出演しているのは後にピンク映画の神様とまで言われた白川和子。この映画は空前の大ヒットを収め、ここから88年まで数えきれないほどのロマンポルノシリーズの制作が行われる。今では人妻を想起する際この”団地妻”こそスタンダードなイメージとして植えつけられているほどのインパクトを残し、”人妻”というジャンルを語る上で欠かせない存在となっている。

 そして、第5章「人妻の出生証明書と死体検案調書」、第6章「PTA会長がAVに出る時代に」では、実際に不貞をしている人妻や風俗やAV業界で働く人妻へ、インタビューを試みている。主人に悪いと思わなかったと語る人妻たちの魔力に惹きつけられること請け合いだろう。

 最後には今ネット界隈でも話題となっている「NTR(寝取られ)」について考察。ここで紹介されるのは、妻を寝取ってもらいたいという願望を持つ夫たちだ。彼らが嫉妬から来るM的快感を覚える姿には好き嫌いがあれど、新しい”人妻”を描く上では欠かせない存在として成り立つのではないだろうか?

 ”人妻”に魅了されている方はもちろん、魅力が分からないという方にもぜひ手にとっていただき、彼女たちが醸し出す悪魔的魅力の一端を感じていただきたい。
(文=谷原群青)

『なぜ人妻はそそるのか? 「よろめき」の現代史』

 
においたつ色気!

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