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◆さすらいの傍聴人が見た【女のY字路】 第41回

「男性の陰茎は理由なく大きくなる」痴漢のトンデモ言い訳


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※イメージ画像 photo by Le Roux Belanger from flickr

 わいせつ事案で定番の電車内の痴漢はおおむね「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反」いわゆる都道府県が定めている迷惑防止条例違反に該当する。かつてはダフ屋が多かった罪名なのだが、インターネットの普及によりオークションサイトが一般化し、ここ数年ではダフ屋での被告人を見る事は極端に少なくなった。現在では、この罪名の法廷に入れば十中八九、痴漢の被告人である。

 痴漢の裁判となれば、反省やこれまでの善行をアピールして減刑を狙う派か、完全に冤罪を主張して争う派とに分かれるが、これは前者と後者を織り交ぜ過ぎて、かえって心証を悪くしているパターンだった。

 被告人はずんぐりむっくりした巨体の、当時飲食店に勤務していた男性。別室で証人尋問に答えた被害者が言うには、朝の通勤時、満員の東京メトロ東西線で被告人が真後ろに乗り込み、ぴったりと密着した上、両手で尻を揉んだりさすったりした挙げ句、勃起した陰茎を長時間ハアハア言いながら押し付けてきた、とのこと。対する被告人は、被告人質問においてこう主張した。

「乗って30秒ほどで、自分の陰茎が大きくなってしまい、茅場町までそういう姿勢が続きました。このように理由がなく陰茎が大きくなったのは初めての体験でした。分からないうちに大きくなることが、ごくまれにあります。これは自分の意志に従う現象ではありません」

 そんな陰茎の痛みのため、拳で女性の腰を押したが、効果がなかったため自分の腰を引いたのだという。しかし腰を引いたところで後ろにいた男性の乗客に押し返され、何度か前後に動かすうちに、後ろの男性に舌打ちをされ、ケンカになるかもしれないと思い、腰を引くのをやめた。その前後運動は門前仲町駅まで続き、門前仲町から茅場町までは動かないようにしていた......こうして謎の前後運動が生じたらしい。

 その信じ難い主張を弁護人も後押し。もはや何歳なのか想像もつかないほど老けきってヨボヨボの老人弁護士がフラフラと立ち上がり、力強い声で弁論を行った。

「痴漢行為の本質とは何なのか! 特定の女性に対する精神的肉体的な自由の侵害です。強制わいせつ、強姦罪では、被害者は精神異常になるケースもあります。しかし! 痴漢はこの2つに比べると、ただ単に被害者の体を触っただけであり、被害者が自殺とか、気が触れたとか、聞いたことがありません。強姦では、被害者はキズモノになったということになりますが、しかし、痴漢では自分はキズモノになったとは思わず、世間もそうは思いません! 2つに比べると、ごくごく軽微な犯罪であります。痴漢は学童のいたずらに毛が生えた程度のものなのです。熱いお灸をすえる程度でいいんです」

 のっけから"痴漢は大した犯罪ではない"説を披露して法廷にいる者の度肝を抜き、"突然の陰茎勃起説"についても自身の体験をもとにこう語る。

「男の陰茎は突然勃起するんです。男は経験してるんです。男の人みんな。検事さんも......」と言って検察官をじっと見つめ(なぜか検察官はうつむいていた)、そして続けた。

「私も中学の時いきなり息子が立ち上がってきましてね、しかも痛いんですね。一回勃起すると治まらないんですよ。私は数学の公式を暗証して戻します。声には出さないですけどね。まさに親の心子知らずです! なかなか言うことを聞いてくれないんです! 勃起した陰茎を押し付ける、そんな器用な痴漢はできないです。痛くてしょうがないんです。立った陰茎をどう処置するか、それが被告のじたばたした理由なんです」

 さらには被害女性についても「一旦思い込んだら女性は命懸けなんです。そうなると、止まらない! 女性は反省はめったにしません!」と、独自の男尊女卑的思想を織り混ぜながら、思い込みであることをアピール。

 走り出した暴走機関車は止まらない。被告人の"良いところ"についてもたたみかけるようにこう主張。

「人柄についてですが、被告は部下同僚から慕われており、かくし芸大会にも優勝しております。毎朝、築地に魚を仕入れに行ってたんです。これは自分で進んでやってたことで、命令されてやっていたことではないんです! 私は何度か手紙のやり取りをしているんですけどね、漢字の省略がないんです。実に丁寧なんです。全体の印象としては、さわやか!筆圧も均一なんですね。私も試してみたけど、なかなか難しい。よくやったと思いますよ。相当の書家になれると思います。いわばそれほどの人なんです! そういう人を刑務所送るのはもったいない、社会の損失です! 早く出すことが、社会の利益になるんです!」

 加えて、当時被告人が勤めていた飲食店の女社長も証人出廷し、「被告人は大きくて身なりが汚いので、痴漢と間違えたのではないか」など、またもや珍妙な調子で被告人を援護。女社長と弁護人のアシストに応えるかのように被告人も最終陳述では「相手の女性は『かかわりたくない』と言っていますが、私の方こそ『かかわりたくない』です」と、とんだ捨て台詞で裁判を締めくくっていた。

 ちなみに被告人はこれまで複数回、痴漢で検挙されたことがあり、数年前にも同じ痴漢で執行猶予判決を受けている。このとき犯行を犯した電車も東西線、最後尾だ。また冤罪を主張しながら犯行現場の再現等を行っておらず、状況について吟味する姿勢がなかったことも気にかかる。案の定「いきなり息子が立ち上がってきて痛いので前後運動」説は虚偽だとみなされ、懲役1年の判決が下された。

 弁護人がこの弁護活動を本気でやっていたのか躊躇しながらやっていたのかは定かではないが、さすがにこの論法は、勝ち目がないと気づかなかったのだろうか......。
(文=高橋ユキ)

高橋ユキ(たかはし・ゆき)
裁判所で出会った面々と、女だけの傍聴グループ「霞っ子クラブ」を結成し、ブログ「霞っ子クラブの裁判傍聴記」を開設(現在は閉鎖)。書籍は『霞っ子クラブ~娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)ほか、『あなたが猟奇殺人犯を裁く日』(扶桑社新書)など。好きな食べ物は氷。


『それでもボクはやってない』


こう言いたいわけですね、分かります

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『誰に触られているかわからず感じるド近眼美少女』


痴漢はAVだけにしておきましょう

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