反原発で”人間力”を見せた山本太郎が事務所退社! 今後の行方は?

yamamto0530_02.jpg※画像はDVD『夜を賭けて』/東映ビデオより

 俳優の山本太郎が、27日夜のTwitterにて所属事務所のシス・カンパニーを辞めた旨のつぶやきを発信した。

「事務所辞めました! 今日。これ以上迷惑かける訳いかないから。辞めるな、と社長、スタッフの皆さん何度も引き止めて下さった。最後には僕の我が儘を聞いて貰いました。13年もいたSISは真面目で正義感強く情に厚い事務所。もう関係ないから事務所への電話しないでね。他の役者に迷惑かかる」

 と、事務所側からは引き止めがあったこと、また、これまで同社へ第三者から、なんらかの問い合わせがあったことをうかがわせる内容となっている。

 山本は東日本大震災以降の4月上旬に、同じくTwitter上で「原発発言やリツイートはCHECKされ必ず仕事干される。(中略)だからって黙ってテロ国家日本の片棒担げぬ。親不孝許せ」とつぶやき、反原発の立場を明確にした。その後、同月10日に高円寺で行われた反原発の大規模デモに参加。今月中旬には、福島の子どもたちの疎開を支援するプロジェクト「オペレーションコドモタチ」に賛同し、ビデオメッセージをYouTubeにアップした。このムービーで山本は「20ミリシーベルトは殺人的です」と福島の子どもたちの疎開を呼び掛けている。文部科学省が事故現場に近い地域の学校施設利用に際しての放射能汚染度暫定基準を”年間被ばく量20ミリシーベルト、校庭の放射線量は毎時3.8マイクロシーベルト”と設定したことについて異を唱える内容だ。さらに今月23日には福島の親たちと文部科学省前に集まり、”年間20ミリシーベルト”撤回を訴えるデモにも参加していた。

 そんな山本の身辺に異変が起きたのは25日。Twitter上に「決まっていたドラマの仕事を降板させられた」ことを告白。つぶやきによれば「マネジャーからmailがあり『原発発言が問題になっており、なくなりました』」と、反原発の立場を明確にしたことにより仕事がなくなったと受け取ることのできる内容となっている。そして翌26日「舞台終了までTwitterやめます。稽古についていけてないから」と、いったん本業に専念するとしていたものの、27日には退社となった。

 ドラマ降板に関して元の所属事務所は「原発発言が問題になって」いたことは否定しており、今回の退社に至る流れについても、山本が実際に”干された”のかは明確になっていないが、なにより山本自身が「原発発言は仕事を干される」と考えているその芸能界に身を置き続けることに疑問を感じていたのは確かだろう。反原発に目覚めたゆえに、震災以前のように仕事を続けることはできないと考えた結果であるとも言えるかもしれない。”芸能人”であることよりも、ひとりの”人間”としての行動。日本では山本のように政治的立場を明確にする芸能人はまだなじみがないが、欧米では芸能人によるこの手の発言は特に珍しいことではない。

 山本は先の「オペレーションコドモタチ」のビデオメッセージ上で、福島第一原発の状況によっては自身も疎開する考えをにおわせており、今後は拠点を東京以外の場所に移す可能性も十分あり得るだろう。芸能活動については、

「6月17日から始まるミュージカル『太平洋序曲』への出演は予定通り行われるようです。今後は大手スポンサーや広告代理店が付いていない劇団なんかでの仕事が現実的だと思いますね。今回、反原発の色がついてしまったけれど、例えば芸能界には沢尻エリカのように、夫とのゴシップや事務所移籍騒動ですっかり”取扱注意”となったタレントが、話題作りのためにとCMに起用されることもあります。その線で考えれば、仕事のオファーはあるかもしれません」(芸能ライター)

 山本は高校生時代に『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(日本テレビ系)の「ダンス甲子園」に出演したことがきっかけで芸能界入りしている。競泳パンツに競泳帽、ステッキを持ち体にオイルを塗り、胸には大きく「メロリンQ」など謎の文句を油性ペンで書いて踊り狂っていた彼を覚えている方も多いだろう。この番組で司会を務めていたのはビートたけしだ。覚せい剤使用の罪で逮捕され芸能界からも追放された小向美奈子をTBSの深夜番組に生出演させたり、代議士との不倫などで何かと問題の多かった山本モナの面倒を見ていたりと「再生工場」の異名を持つたけしが山本を救う、ということも考えられる。こう見れば、まだ山本の芸能人生命は終わったわけではない。

 ”年間20ミリシーベルト”は国際放射線防護委員会の見解に基づいて決められた値であるが、これについては内閣官房参与であった東大大学院教授の小佐古敏荘氏が「容認したと言われたら学者生命が終わる」と先月29日に涙を流しながら辞任会見を行った。一方で「許容範囲だ」とする専門家もおり、現在もその安全性については議論の対象となっている。山本はこの状況下で「20ミリシーベルトは殺人的です」と明確な姿勢を示した。今この瞬間も放射性物質が漏れ出ており状況は悪化する可能性もある現状において、山本の発言自体、恐怖をあおり混乱を招くだけではないかという意見もネットには散見されており、実際そういう側面もある。だが、芸能人という立場でありながら自分の意見を明確に表明したことに対する勇気は賞賛されるべきだろう。彼の発言が、今回の事態が果たして本当に危険なのかそうでないのか、疎開すべきか留まるべきか、それについて考えるきっかけを我々に与えたことは間違いないのだから。

(*5月27日、文科省は「年間1ミリシーベルトを目指す」との発表を行った)

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