被害総額1,800万円? 雇い主の口座から金を引き出し続けた元お笑い芸人とは

cashatm0527.jpg※画像はイメージ画像 photo by hughlook from flickr

 5月25日に東京地裁で、とある窃盗の裁判が行われていた。起訴状によれば、被告人は不正に入手した他人のキャッシュカードを使用し、2009年10月から翌10年の7月にかけ、11回にわたってATMで現金550万円を引き出したという。

 この被告人は深川博司。かつて、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに所属していた元お笑い芸人。本件発覚後、解雇されている。かつては「わさび」というコンビを組んでいたようだが、本人のブログには「ポッキーゲーム」とあり、3人で活動していたとみられる。同ブログには事件が発覚した昨年7月に、ポッキーゲームの解散を発表する記事が掲載されているが、その後は更新されていない。

 裁判の証拠によれば、被告人はもともと地方で会社員をしていたが、芸人になるため上京。その後、ライブなどお笑いの活動に励んでいたが、アルバイトをする時間が取れず、借金が膨らんでしまった。

 そんな折、先輩から紹介された運転手の仕事を始める。ある日、その依頼主が車中に忘れていった財布からキャッシュカードを抜き取り、銀行のATMで試しに依頼主の誕生日を入力したところ、あっさり金が引き出せてしまった。味を占めた被告人は、運転手を辞めた後も、依頼主から車を借り、車内に置いてあったキャッシュカードで金を引き出していた……。

「被告人を以前、運転手として雇っていた。信じたことが間違いだった。気持ちを踏みにじることは許せない」

 調書では被害者である依頼主がこう述べている。確かに、運転手の仕事を与えることで、稼ぎの少ない若手芸人の生活を手助けする気持ちが当初はあったはずだろう。それを、不正な現金引き出しという裏切りで返されたのだから、その落胆も大きいのではないだろうか。

 起訴された被害金額は550万円であるが、依頼主によれば、実際の総額は1,800万円だという。発覚後の昨年8月に話し合いをして、お金を返していくという話がまとまっていたらしい。弁護人によればすでに80万円を返済しているというが、今年4月に逮捕された。今後は、月に30万円を5年間支払って返済していく予定だという。

「キツいとは思いますが、そこはやっていきたいと」  

 被告人には懲役4年が求刑された。逮捕されてから約2カ月近く、身柄勾留されており、今後の返済が滞りなく進むのかは気になるところである。

 今回の被害者である依頼主は、長期間にわたり大金を引き出されていることに気付かないほどの稼ぎがある人間であることは間違いない。運転手を雇う必要がある忙しい人間でもあるだろう。会社役員もしくは大物先輩芸人では……と素性が気になるところだが、裁判では、その被害者が誰なのか明かされることはなかった。

「同期とかライバルが多くて、先輩面してるヒマがあったらネタを書いていきたいと思っていた……」

 と、芸人時代を振り返っていた被告人。お笑い芸人はもともと駆け出し時代のギャラが少ないことは有名な話だ。事務所によっては、そんな新人の芸人たちを売れっ子の先輩芸人が誘い、酒や食事をおごることも珍しくない。つらく貧しい駆け出し時代を経て、売れっ子になっているからこそ、後輩の面倒はオレたちが……という思いがあるのだろう。今回の「運転手の依頼」も、そんな駆け出しの被告人の生活が少しでも楽になるように、との配慮からであることは想像がつく。が、文字通り恩を仇で返す格好となってしまった。

 まだ若く、前科持ちとなってしまう被告人にとって、今回の返済計画は相当厳しいと思われるが、無事完済して新たな人生を歩むことを、依頼主も願っているのではないだろうか。

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