実刑判決は双方にとって意外な結果? 市川海老蔵暴行事件

ebizouboukou0314_02.jpg海老蔵の胸中やいかに

 歌舞伎俳優の市川海老蔵(33)に暴行を加え、重傷を負わせたとして傷害罪で逮捕、起訴されていた伊藤リオン被告人(27)。東京地裁は14日、被告人に懲役1年4月(求刑・懲役2年)の実刑判決を言い渡した。

 弁護側は、海老蔵による元暴走族リーダーへの頭突きに対しての防衛が行き過ぎた”過剰防衛”だと主張。しかし、板野俊哉裁判官はこれを否定した。裁判所は「状況から(海老蔵による)頭突きを認めることは困難。しかし被害者も酔っており『頭突きをしていないと断言はできない』と言っている」と、海老蔵からの頭突きについては曖昧なままにしつつも、「被害者の行動が犯行を誘引したことも否定できない」と海老蔵の落ち度を認めた。暴行の程度については「被害者に相当量の出血があり、意識不明に陥った場合は窒息死する可能性もある、危険な犯行だった」と指摘。さらには「被告人には粗暴癖があることは否定できず、それによる再犯も否定はできない」と再犯についても危惧し、最終的に「正当防衛や過剰防衛との評価はできない」と判断した。

 2月18日の初公判、一般傍聴席19席に対し、992人の傍聴希望者が列を作ったが、地震の影響か、今日の判決では一般傍聴席20席に対し、傍聴希望者は135人。法廷には空席もあった。今回の裁判は傍聴席を求めてマスコミが並び屋のバイトを多数雇い、傍聴希望者が膨れ上がったようだ。判決の法廷に空席が出たのも、マスコミがダブって傍聴券の抽選に当たったためだろう。

 このように、やたらとマスコミからの注目度が高かったこの事件、そもそも海老蔵と被告人の間には示談が成立していた。昨年12月28日に海老蔵側が開いた会見で、海老蔵側の弁護人が明かした。会見上で弁護人からは、この示談は伊藤リオン側から提案されたことと、金銭のやり取りがなかったことが名言されたが、逆の噂もあり、真偽の程は分からない。

 過去の傷害罪の例からも考えると、示談が成立しており、被害者の落ち度もある程度認められた場合の判決は、執行猶予が妥当な線だ。刑事裁判において示談の成立は、被告人にとってかなり有利な事情となりうる。被害弁償としてある程度の金額を被害者に渡す、などの行為も、そこそこ有利な事情となりうるが、示談はそれ以上だ。かいつまんで言えば、被害弁償とは、被害者に与えた実損害を賠償すること。示談とは、実損害だけでなく事件によって負った精神的苦痛も補う行為であるとされる。

 過去の判例で言えば、被害者の背後から胸を果物ナイフで刺し、全治15日の傷害を負わせた事件では、示談も成立しておらず、賠償もなしで、懲役2年8月の実刑となっていた。また、被害者の顔面を手挙で殴打し全治1カ月の骨折を含む傷害を負わせた場合(事件は被害者の挑発により発生しており、示談の申し入れもあった。限りなく海老蔵事件に近いケース)、これは懲役1年、執行猶予3年の判決が下されている。

 示談も済んでいて、被害者のある程度の落ち度も認められている事案にもかかわらず、実刑判決を受けるのはなぜか。理由として考えられるのは前科の有無だろう。初公判の冒頭陳述で、被告人は高校時代に傷害事件を起こしていることが明らかになっている。これが大きく判決に影響した可能性は高いが、それは少年時代の前科であり、今回の事件にそこまで大きく影響するだろうか、という疑問もある。

 弁護人側は即日控訴。海老蔵は事態の収束をはかるため示談を済ませたのだろうが、思いのほか長期化する見込みだ。実刑判決は双方にとって、意外な結果だったのではないだろうか。

理由なき暴行

 
彼らには”理由”はあったのか!?

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