エロかアートか? 大ヒット『SCHOOLGIRL COMPLEX』の類似本出版に著者が物申す

schoolgirl2_01.jpg画像は『SCHOOLGIRL COMPLEX 第二弾(仮)』より

 昨年7月に発売され、写真集としては異例の大ヒットとなった『SCHOOLGIRL COMPLEX(以下『SGC』)』(イースト・プレス)。写真家・青山裕企の2冊目となるこの写真集は、瞬く間に大きな話題を呼び、しかしヒット作の宿命か、類似本も多数生み出されることとなった。『SGC』同様、女子高校生をモチーフにして、あからさまなエロ要素を含むショットを収めたものをはじめ、装丁や帯文まで酷似させた書籍までが乱立する状況に対し、先月、青山氏本人がTwitterで言及し、物議を醸している。そこで、こうした現在の写真集出版業界にどのような思いを抱いているのか、青山氏にインタビューを行った。

──Twitterでのご意見は拝見したのですが、パクリを糾弾したいというわけではないんですよね?

青山裕企 (以下、青山)「はい。これがOKでこれがダメ、と言えるものでもありませんし、類似本のほうが好きな方もおられるでしょう。『SGC』は、読者の方から『(思ったよりも)エロくなかった』と批判的なご意見をいただくこともあるんです。ただ、類似本はそんな作品に似せた書籍を作ることで、商売として短期間で回収することを目的に作られていると思うんですね」

──アート作品が並ぶ写真集コーナーに、『SGC』と一緒にいわゆる”エロ本”のような写真集が平積みで並べられる状況を招いたことに責任を感じて、声を上げたということなのでしょうか。

青山 「最初はできるだけ何も言わないでいようと思っていました。実は発売前から堅田(浩二氏・『SGC』担当編集)さんと『似たような本は出るかもね』という話はしていたんです。ただ、装丁や帯の文句まで似せた作品を見て、さすがにここで自分から言わないと、どうしようもないなと思いました」

──確かに一部、行き過ぎたものもあるかもしれません。

青山 「出版ってそういうものだと思いますし、怒りもそれほどないんです。ただ、そういうものかと納得しているだけじゃ、いけないのかなとも思い、自分に大した力があるわけではないのですが、発言を始めました。実際に、類似本を僕が撮影したと勘違いされている方も、結構おられたりしたんですよ」

──そうなんですか。実際、青山さんの写真集であるかのように、勘違いさせようとする意図が感じられる装丁になっていますよね。

青山 「そうですね。たとえば『少女時代』(アスペクト)は撮影者のクレジット自体ありませんし、『ティーンズメモリー』(オークラ出版)の場合、クレジットはあるものの帯の下に配置されていて、書店で包装されている状態ですと、誰の撮影か分からないようになっています。『OFFICELADY COMPLEX』(KKベストセラーズ)も奥付には撮影者の名前がクレジットされていますが、表紙まわりにはクレジットされていません」

schoolgirl2_02.jpg画像は『SCHOOLGIRL COMPLEX 第二弾(仮)』より

──『SGC』がそれだけヒットしたということでもありますが、似た企画の写真集が出るとは思いこそすれ、ここまでとは想定していなかった、と。

青山 「はい。僕の中で『SGC』は、1冊目の写真集『ソラリーマン 働くって何なんだ?!』(ピエ・ブックス)で表現しているシリーズと対になっているんです。本来、皆個性的であるはずなのに、記号的に感じてしまいがちなサラリーマンを、ジャンプという誰でもできる行為をすることで、ソラリーマンにして個性を引き出していく。対して『SGC』は、同じく記号的な存在である女子高校生の顔を隠すことで個性を消し、写真の中に記号っぽさだけを残していく。どちらも出版化を目的としていたわけではなく、写真展をベースに長年撮りためてきた大切な作品で、結果として出版していただくことができたというものなんです。しかし類似本は、僕の見る限り短期間で撮影・制作されていると思います。このような展開が続けば、自分の作品もひとつのブームのように消費されていくのではないかと思います」

──大切に撮ってきたモチーフのひとつが、あからさまなエロ目的の本を粗製乱造することで消費されていくというのが辛いと。

青山 「ただ、似た本が出ることはしょうがないことだと思っていますし、自分が消費されない強度を持った作品を、作っていけばいいのだとも思っています。4月に『SGC』の第二弾が出ますので、そこでその成果を見てもらおうじゃないか、といった話は堅田さんとしています。これまでも単なる企画ものとしてではなく、自分なりの表現をするために何年も撮り続けてきたように、それこそ読者の皆さん方が飽きてしまっても、ずっとこれからも淡々と撮り続けていきたいと思っています。あと、実はひとつだけ『SGC』が類似本と並べられない方法があるんですよ」

──どういった方法でしょうか?

青山 「写真集コーナーに、著者名義のスペースができれば類似本と分けられるんです。淡々と、というのといきなり矛盾してしまいますが」

──なるほど。

青山 「僕も写真家のはしくれとして、青山裕企のコーナーができることが、どれだけ大変なことかは分かっていますし、何十年かかっても実現できない可能性も高いです。ただ、これまで写真家としての僕は、写真展をベースに活動してきたのですが、写真集をベースに活動して、自分のコーナーができるのを目標に活動するのもありなのかな、と思ったりもしています。とにかく、長い目で考えて、これからも撮りたいものだけを撮り続けていきたいですね」

──『SGC』の第二弾で、オリジネイターとしての違いが受け手に届くことを期待しています。

(取材・文=仲真)

【参考リンク】
Togetter – 「SCHOOLGIRL COMPLEXの青山裕企さん、類似本に言及」

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