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◆さすらいの傍聴人が見た【女のY字路】第33回

ストーカー規制法違反の被告人に見る"勘違い"の度合い


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画像はイメージ画像『99%の勘違い!―男と女を漢字で表現』
著:松本一起/長崎出版

 ストーカー行為等の規制等に関する法律、略してストーカー規制法。この法律違反で裁かれる被告人たちには、いくらか共通点がある。それはプライドが高いこと、そして、勘違いがハンパないことだ。

 保釈されているC也(昭和40年生まれ)は大きめのベージュのジャケットにグレーのズボン、色黒でロン毛、と妙にバブルの残りかすを感じさせる出で立ち。あまり刑事裁判とは縁のなさそうな感じではある。

 ロッククライミングを趣味としており、そのつながりで被害者女性Aさんと出会った。Aさんの夫は海外赴任中で、仲が良くないとも聞かされ、すっかりその気に。当初はお互い好意を抱き、肉体関係もあったという(裸の写メも撮っていた)。ところが、密会中に夫が帰宅し、2人の関係がバレてしまった。C也はAさんが夫を捨て、自分のところに来てくれると信じていたのだが、当然ながらAさんはC也と別れることを決めた。

 だが、C也は応じなかった。

 なかなか別れられないでいた矢先、2人でいたところAさんのケータイに夫からの電話。ここでC也はカッとなり、激しく夫を罵倒。Aさんもすっかり恐怖を感じてしまったという。その後、夫から「今後は彼女に会わせない」というメールが。怒りが最高潮に達したC也は、夫やAさんをメールで罵倒しはじめ、さらにはつきまとい行為まで行い、結果、逮捕された。

「地獄に堕ちろ」「犯罪者野郎」「オレはやると言ったら徹底的にやる。刺し違えてでもやるよ」というメールを何度も送っていたというから、Aさんの恋も冷めるはずだ。だが、法廷でのC也はまだそれが分かっていなかった。

「彼女は恐怖感を感じたと言ってますが、そのような事実はないです! 私は彼女に貞操観念がないことを注意しただけです!」

「ボクたちの付き合いは、非常に深くて親密でした! 彼女はまだ、私のことを愛してると思ってます!」

 何も言えない。警察につきまとい行為を禁止され、刑事裁判にまでなっているこの段階で、明らかに嫌われてることにまだ気づいてないのは、この法廷で彼だけだろう。

 裁判官も呆れ気味に、

「あなた大学生じゃないんだからさぁ~歳おいくつ!? 弁護士からも書類来たんですよね。それで気づかないなんて、尋常じゃないよ! 普通、そこで気づくよ!
 あなたがね、好きか嫌いかなんて、関係ないの! 学生に説教してる訳じゃないんだからさぁ、迷惑かけないのは大人の付き合いの最低限のルールでしょ!? そこで好きだも嫌いだもない訳よ!」

 当然ながらC也には有罪判決が下された。

 また、昨年末の別の裁判でも、28歳の大学8年生がバイト先で知り合った女性にストーカー行為を働いたというものがあったが、こちらも勘違い発言が多かった。最後には、

「まあ、本来、こういうことするつもりはなかったし、自分を見失ってた。逮捕されてからは彼女に親しみも感じないし、魅力も感じない」

 と言い放つ始末。謝罪の言葉はどこ行った、と聞きたくなるほど、彼らには『あの子に悪いことしたな~』という気持ちが希薄だ。それどころか、オレが嫌われるはずはない、となぜか思っているフシがある。悪いことをしたと思ってないのか、または謝るのが恥ずかしいのか。いずれにせよ自分の好意を受け止めてもらえるのが当然だと思っているから、拒絶されるとキレるのだろう。

 ストーカー規制法は、1999年に埼玉県桶川市で発生した桶川ストーカー殺人事件をきっかけに施行された。最寄りの警察に相談をすると、相手方に警告がいく。警告に従わなければ、(東京都の場合は)都の公安委員会から禁止命令が出る。それにも従わなければ、刑事裁判を受け、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される。

 法廷にやってくるストーカー規制法違反の被告人は、それら再三の警告や禁止命令も無視した強者たちだ。ただ、裁判を見ている限り、勘違いの度合いがすごすぎて、その後が心配になる。被害者は、加害者に逆恨みされるんじゃないかという不安もつきまとうだろう。罰を与えたらそれで終わり、という現状のシステムでは若干の心配が残る。カウンセリング、保護観察等、加害者へのフォローも必要だろう。
(文=高橋ユキ)

高橋ユキ(たかはし・ゆき)
裁判所で出会った面々と、女だけの傍聴グループ「霞っ子クラブ」を結成し、ブログ「霞っ子クラブの裁判傍聴記」を開設(現在は閉鎖)。書籍は『霞っ子クラブ~娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)ほか、『あなたが猟奇殺人犯を裁く日』(扶桑社新書)など。好きな食べ物は氷。

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