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◆さすらいの傍聴人が見た【女のY字路】第32回

AV業界の深い闇 「バッキービジュアルプランニング」裁判


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*イメージ画像:『性犯罪防止マニュアル』 著:三井京子

 勾留されているはずなのに色黒、被告人なのにジャージではなくスーツ。下には黒いTシャツ、と、いわゆる"被告人スタイル"とはかけ離れた、珍しいタイプだった。元社長というプライドがそうさせていたのだろうか。

 2004年12月『問答無用 強制子宮破壊』『水地獄一丁目』など、いわゆる鬼畜モノのAV制作会社「バッキービジュアルプランニング」の関係者らが続々と逮捕された。この業界人風の男は栗山龍(逮捕当時40)。同社は豊島区の飲食店で撮影契約を交わした女優に合法ドラッグを吸わせ、意識が薄れたところを都内のマンションに連れ込み、わいせつ行為を撮影しながら肛門に浣腸器具を挿入。器具を破裂させ直腸穿孔、肛門裂傷という全治4カ月の重傷を負わせたという。別作品の撮影で被害に遭ったという他の女性らも次々と被害届を出し、計4名の女性に対する強姦致傷罪等で逮捕、起訴。他の社員らは栗山の公判に先立ち、同様の事件で起訴され、すでに有罪判決(1名のみ執行猶予)が下されていた。

 法廷での栗山は往生際が悪かった。

「別の男から『AVは儲かる』と言われたので出資だけした。経営には関わっていなかったが、その男が出資金を着服したのでクビにして、その後は自分が経営に関わるようになった。
 シリーズ物だったら一度許可を出してしまうと、あとはノータッチ。ほとんどの企画には許可を出して、お金も出していた。
 実質的には濱田太平洋(監督、現場責任者。同事件で逮捕され、懲役15年の判決が下されている)に任せていた」

 などと企画の内容は認識していなかったかのような発言に終始。しまいには「『子宮破壊』は見たこともない」とも。

 ところが押収されている栗山のメールデータからは

『ドラッグは前回前渡しだった。売れ行きを考えるとNGだ』
『今回の82万は出せんな~』

 などと企画内容を思いっきり把握していることが分かるやり取りがある。

検察官「『子宮破壊』見たことないって言ってたけど、ではなぜあなたの自宅から『子宮破壊』のDVDが2本と『完全緊縛マニュアル』が押収されてるの?」

栗山「分からないですね~。記憶ないっす」

 まさに知らぬ存ぜぬだ。栗山のパソコンからはスタッフから送られた『条件は、1:完全素人 2:事前に撮影内容を知らされない 3:非合法的に本当にレイプする』などの、企画内容に関する報告メールも押収されているが、こちらについても「メール自体初めて見たので、こういうことをやってるの、知らなかったです!」と驚きの表情まで見せる始末。

 さらには「最近の作品はヌルいから、新潟監禁(9年2カ月もの間、少女が監禁されていた誘拐事件。00年に発覚)みたいなの出して、過激になるよう煽ってくれ」と過去に言ったとスタッフらが述べている件についても、「言ってませんねぇ」と涼しい顔。
 
 他の共犯らには既に有罪判決が下されているのであるから、今更栗山の言い分が通るはずもなく、あっさり懲役18年の有罪判決が言い渡された。これは共犯らの中でも一番重い。裁判所からは「女性が真に苦悶する場面を撮影するよう、監督を叱咤していた」と首謀者認定をされている。

 強姦致傷罪は強姦罪の結果的加重犯(強姦によって被害者を死亡させたり負傷させたりした場合のこと)にあたり、無期または5年以上の懲役に処せられる。ものすごい幅があるものの、性犯罪の中でも重い方だ。強姦罪については04年に法定刑が2年以上の懲役刑から3年以上の懲役刑に引き上げられたが、近年も、性犯罪に関しての量刑見直しの気配がある。昨年3月、強盗強姦未遂などの罪に問われた被告人に対しての判決公判が大阪地裁で開かれたが、裁判長は「性犯罪の量刑のあり方について、裁判員裁判が始まったのを機に、一般市民の処罰感情の上に立って改めて検討し直すことが求められる。これまでの量刑傾向はやや軽きに過ぎたと指摘せざるを得ない」と量刑に言及した。

 この事件が今、裁判員裁判で裁かれていたら、関係者らにはもっと重い判決が言い渡されていただろう。
(文=高橋ユキ)

『性犯罪の心理』 著:作田明


性的権利に対する侵犯

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高橋ユキ(たかはし・ゆき)
裁判所で出会った面々と、女だけの傍聴グループ「霞っ子クラブ」を結成し、ブログ「霞っ子クラブの裁判傍聴記」を開設(現在は閉鎖)。書籍は『霞っ子クラブ~娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)ほか、『あなたが猟奇殺人犯を裁く日』(扶桑社新書)など。好きな食べ物は氷。

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