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◆さすらいの傍聴人が見た【女のY字路】第26回

「ネコに話したことが世界に筒抜けだから、組織的な犯罪だと思う」精神鑑定の基準って何?


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*イメージ画像:『ザ・ベスト・オブ・デヴィッド・ボウイ1980/1987(DVD付)』

 門外漢にとっては裁判所というのは実に不思議なところで、「いや~この人、どう見ても普通だよ......」と思えるような被告人に精神鑑定をしてみたかと思えば、逆に「これはどう見ても......」という被告人がアッサリと有罪になってたりする。責任能力って、一体なんなんだ。傍聴を重ねるにつけ、疑問が増していく。

 今回の裁判は、後者の方だ。

 被告人はY子(逮捕当時42)。2008年1月、近所の小1女児を包丁で刺し、殺人未遂で逮捕。東京地裁にて公判が行われていた。グレーのスウェットにパジャマのような紺色パンツ。肩までの髪を後ろでひとつに束ね、顔はもちろんノーメイク。典型的な女性被告人スタイルだ。

 Y子は犯行の動機をこう語る。

「私の方をチラチラ見ながら『サリン君だ、サリン君だ』って言ってたので。サリンって、松本サリン事件のことだから、私が大量虐殺を狙っているとか、そういう意味なのかなと思いました。
 それで、カッとなって、昼間に持ち出して玄関に置いていた包丁を握って、私のこと『サリン君』って言った子のとこまで行って、首をつかんで、包丁を振り下ろしました」

 被害女児は、左耳と右手の甲、左足の3カ所を切られ、重傷を負った。また、Y子と女児は顔見知りだったという。

 ていうか、そんな暴言がホントにあったのか分からないし、何より、刺すほどのことじゃないだろう。だがY子は弁護人からの質問の最後で、こう釘を刺した。

「彼女はOさんとこの上の子だと思ってた。でも下の子だった。そういう意味で勘違いしてたのは申し訳ない。でも逆に、そういう悪口はいけないってことも、反省してほしいと思います」

 驚いたことに、被害女児への反省の弁はなし。上の子とか下の子とか、関係あるか!? 対する検察官からの質問でも驚きの発言の連続。

検察官 「あなた、自宅にカメラや盗聴器を仕掛けられてるって話してましたね? 具体的に盗聴器を見たことは?」
Y子 「ないです」
検察官 「盗聴器を仕掛けられてると思った根拠はなんですか?」
Y子 「私がネコに話したことや、電話で話したことが世界に筒抜けになっているんで、組織的な犯罪だと思います」
検察官 「あなた、ある団体から狙われてるって話してましたよね?」
Y子 「狙われてるっていうより、利用されてるんです」

 他にも、家からモノが盗まれるなど、Y子によれば世間からイヤがらせを受けていたということらしい。そして、話題はどんどんワールドワイドに。

検察官「あなた、デヴィッド・ボウイにプロポーズされてるんですよね。最初はいつですか?」

 おいおい、検察官も......こんな質問しちゃっていいのか? しかしY子はシレッと答える。

Y子 「89年です」

 そんな前からだとは......。

検察官 「最近では?」
Y子 「10月か、11月くらいに、クリスマスカードを送ってくれっていうのはありました」
検察官 「デヴィッド・ボウイはどうやってプロポーズしてくるの?」
Y子 「歌や映画でプロポーズしてきます。ずっと待ってるからとか......。改めて聞いてみたら、89年のアルバムからずっと......」

 04年、彼の最後の来日以降、世間からのイヤがらせがエスカレートしたという。Y子にとってはデヴィッド・ボウイが守り神のような存在だったのか......。そして、そんな彼女の態度が反省していないと判断されたのか何なのか全く分からないが、裁判所からは懲役8年の判決が下された。

 この裁判は裁判員裁判が始まる以前に行われたのだが、もし裁判員裁判だったら、どうなっていただろう。かなり、意見は割れたのではないだろうか。
(文=高橋ユキ)

高橋ユキ(たかはし・ゆき)
裁判所で出会った面々と、女だけの傍聴グループ「霞っ子クラブ」を結成し、ブログ「霞っ子クラブの裁判傍聴記」を開設(現在は閉鎖)。書籍は『霞っ子クラブ~娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)ほか、『あなたが猟奇殺人犯を裁く日』(扶桑社新書)など。好きな食べ物は氷。

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