売上の明暗分かれる出版業界 出版不況は言い訳か

makudake.jpg『バンド1本でやせる! 巻くだけダイエット(骨格矯正バンド付き)』幻冬舎

 出版業界は暗い話題が続いている。40年以上の歴史を持つ老舗出版社・東京三世社が、9月末をもって廃業。近年、同社はアダルト系雑誌を主力にしていたが、不況に強いと言われる「エロ」をもってしても生き残れなかったという事実は、業界に大きな衝撃を与えた。また、児童図書で知られる中堅出版社・理論社は、年商に匹敵するほど借入金がふくらみ、約22億円の負債を抱えて10月6日に民事再生法の適用を申請。学校の課題書に選ばれるような名作を多数生み続けてきただけに、ショックを受けた人は多かった。

 大手出版社も例外ではなく、8月の決算発表で集英社が初の赤字に転落。赤字額は41億円。集英社と言えば「週刊少年ジャンプ」の看板マンガ『ONE PIECE』の最新刊59巻が初版320万部を記録し、シリーズ累計発行部数が2億部に迫るなど、マンガ部門が絶好調のはずだった。だが、その売り上げをもってしても赤字を補えないほど、雑誌や書籍の減収が目立った。集英社と共に三大出版社に数えられる小学館も2年連続の赤字、講談社は昨年76億円の大赤字を出して経営改善に努めたが、57億円の赤字だった。

 講談社の事実上の系列会社と言える光文社は、さらに危機的状況。看板雑誌の写真週刊誌「フラッシュ」が毎号1,000万円以上の赤字を出すなど経営難が続いたため、メインバンクの三井住友銀行から「破綻懸念先」に分類された。融資をストップされかねない状況に陥ったため、このままでは倒産が確定的になる同社は、ついにリストラ計画に着手。その手始めとして、3月に早期退職者50人を募集し、応募した44人が会社を去った。その中には、会社の実情を熟知しているであろう経理局長や総務局長もいたという。光文社は「出版界で最もヤバイ会社」と言われており、今後は会社存続のために給与カットやボーナス減額などを断行していくと見られている。

 紙メディアの終焉とも思える惨状が続くが、実はそうとも言えない事実がある。骨格矯正バンドが付いた『巻くだけダイエット』(山本千尋・著)など独自路線のヒットを飛ばす幻冬舎は、出版不況の中で書籍部門が好調に推移し、2010年4~9月期の純利益が6億5,000万円(前年比73%増)と大幅に増収。また、ポーチなどファッションアイテムを付録にした”ブランドムック”が累計2,000万部、ムック扱いでありながら解説書の方を付録にした顔用小型マッサージ機『スッキリ美顔ローラー』が160万部を突破するなど業績好調の宝島社は、オリコンの2010年上半期書籍市場調査で、出版社別最高の伸びとなる前年同期比38%増(売上108億円)と躍進している。

 全体を見れば出版業界は確実に縮小しているが、決して赤字の会社ばかりではない。それどころか、この不況の中で成長を続けている会社もあるのだ。

「出版界は雑誌が壊滅的な状況になっていますが、付録など工夫を凝らしたムックや書籍、流行に合わせた旅行ガイドなどは確実に売れている。フィクション物では、シリーズにファンがついてくれるライトノベルが好調です。そして収益を伸ばしているのは、ほとんどが中堅以下の版元。大手は今まで安泰だったことや図体の大きさが災いし、時代の流れに対応できないため、赤字を出し続けながらも何もできずにいます。社員が高給なため、コストカットも上手くいかない。実質的な業務をしている派遣社員や請負社員にシワ寄せがいけば確実に出版物の質が落ちますし、早期退職者募集などで正社員のリストラを断行すれば、有能な人材ばかり流出していくという悪循環です。今後はフットワークが軽く、読者のニーズに柔軟に対応できる中堅クラスの版元が躍進する一方、古い体質の老舗や大手の倒産がいつ起きてもおかしくない状況が続くでしょう」(出版関係者)

 朝日新聞社が早期退職者を募集するなど、出版以外の紙メディアも苦境が続いている。だが、成長を続ける出版社があることを考えれば、これは不況というよりも、古いビジネスモデルが淘汰されていると見るべきだろう。電子書籍の登場など出版業界は未曽有の変化に晒されているが、アイデアをしぼって読者のニーズに応えていく企業の躍進が続く限り、業界の未来は決して暗いばかりではないようだ。
(文=ローリングクレイドル/Yellow Tear Drops

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