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◆さすらいの傍聴人が見た【女のY字路】第11回

【裁判傍聴】遺体をノコギリで切断しコンクリート詰めに! 40代ブリッコ中国女の迷走ぶり


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*イメージ画像:KAKURI スーパー技工 替刃式鋸 210mm

 勾留されている被告人はスッピンだが、そうとは信じられないくらいクッキリとした美しい顔立ち。ムチムチの体にピチピチの黒パンツを履き、なんだか妙に艶めかしい。傍聴席はじめ法廷内を上目遣いにキョロキョロ見回しながら入廷するその姿は、40代の今でもなお、昔懐かしい"ブリッコ"を実践している頑張り屋に見えた。

 2006年12月、元都職員の男性A氏(当時66)の遺体が、東京都多摩市にあるA氏自宅の床下から見つかった。翌年2月、交際相手のY子(当時40)が死体損壊遺棄の疑いで逮捕。のちに殺人などの罪でも再逮捕された。調べによると2人は、05年に府中市の多摩川競艇場で知り合い、交際スタート。Y子はA氏を殺害後、長女と内縁の夫Bとの3人でA氏宅に居住。A氏になりすましたBに、銀行窓口から年金34万を引き出させた、としてともに詐欺罪で逮捕、起訴されていた。事件が発覚したのは「Y子から殺害の告白を聞いた」というBの通報から。Y子が長女を棒で殴ったり、飼っていたペットを殴り殺したりしたのを目撃し、「自分もやられる」と脅えたためだという。

 A氏の遺体は刃物で2つに切断され、コンクリート詰めにされていた。この遺体の遺棄場所にあった髪の毛のDNAは、Y子のものと一致している。はた目には、彼女の犯行だということを疑いようがない状況であるが、08年4月に東京地裁八王子支部で行われた初公判では、年金を引き出したことは認めたが、殺害や死体遺棄については否認。「Bがやった」と主張した。

 中国人のY子、公判は通訳が入った。舌足らず(に聞こえる)な高い声で、時に涙声になりながらの中国語。そしてたまに、たどたどしい日本語も入り交じる。同性でもうっかり彼女のブリッコ戦術にハマりそうになる程だ。

 このように外見的なところでか弱さを臭わせるY子、初公判の通り、事件はBの犯行であり、自分は罪を着せられたのだという主張を通そうとしていたものの、ちょこちょこボロが出た。

「Bが私に『Aさんは入院した』と言ってきました。だから『どこの病院? 会いに行こう』と言ったとき、Bから殺害を告白されました......」

 と涙声で述べるが、

「あなた、Aさんがかつて健康診断に行って、異常がなかったのを知ってたから、入院の話は信じられなかったって、さっき言ってましたよね?」

 と、裁判官から的確な突っ込みが。

「異常はないけど、健康診断の後、血圧が上がったので......」
 
 と釈明していたが、その前に弁護人から「Aさんが死んだと知ったのはいつ?」と聞かれ、こちらについても泣きながら、

「逮捕後に、捜査本部長から知らされました......。バラバラの姿、見せられて......」
 
 さも愛する男を殺されて悲しみに暮れる女性という雰囲気を醸し出していた。

裁判官 「弁護人に答えた答えは正確じゃないということ?」
Y子 「その辺はよく分からないです」

 最後は開き直り。最終陳述でも改めてBの犯行だと主張、ウソをついているのはBのほうだと声高に述べた。

「Bの話によれば、私がAさんを殺した......。それはありえない話。Bはセンス、年齢、全てにおいてAさんの方が優れてる......。女の子だとしたら、もちろんAさんを選ぶ。Aさんを殺してBさんと一緒に生活したいっていうのは、あり得ない話です。
 裁判の場ですけど、死刑を出すのは簡単かもしれませんが、私は殺してません! 金がないから殺したとか言われてますが、殺す必要はない。わたしはAさんと仲良くて、ケンカしたこともない。
 巷の冤罪事件のこと、同情します......。わたしはAさんを絶対殺してない。それはあり得ない。公正な判断をお願いします!」

 こんな場で容姿をこき下ろされるB氏が若干、気の毒だ。またY子は死刑について触れているが、この直前に検察官から無期懲役を求刑されているのであって、死刑はそれこそあり得ない。人の話を聞いているのだろうか......。冤罪事件まで持ち出して、国家権力の被害者であるというアピールも欠かさない。そんなY子に検察は、求刑の際こう指摘した。

「財産狙いの犯行。一攫千金を狙い、競艇にのめり込み、他人の財産を自分の財産であるかの如く浪費した。Aさんの蓄え560万円を半年で使い果たした後、殺害し、年金を搾取した。消費者金融に借金までさせている。公判では終始、虚言を弄し続け、Bに罪をなすりつけることに心血を注ぎ、矛盾する弁解をなりふり構わず弄し続けている」

 そして判決は懲役25年。起訴事実は認定され「被告の供述は不自然な点が多く、信用できない」と一刀両断。目をうるませながら判決を聞いていたY子はすかさず控訴。

 控訴審でも同じように「他人の犯行説」を唱えたが、なんと「Bも怪しいが、もう1人怪しい男・アオキがいる」という新説を持ち出した。ここまで来ると、もう何も言えない。

 まずBさんを怪しいとする根拠はこうだ。

「Bと私は10数年前から付き合いがありますが、男女関係はずいぶん前からない。Bは私と娘のこと、非常に愛してる......。私がAさんと結婚したら、私の娘がAさんの子になる。これはBにとって堪え難いと思います」

 アオキという男が怪しいとする根拠については、

「私はAさんと知り合う前、アオキと知り合って、一緒に食事に行ってました。アオキは私のこと、彼女だと思ってる......。わたしがAさんと付き合うようになって、Aさんに私を奪われたと思っていたと思います」

 「私を奪ったAさんに男2人が嫉妬した」というまさかの少女漫画的な主張が繰り広げられたのである。確かにY子は美人だ。だがさすがにこれは......。

 さらには「逮捕されて精神的拷問を受けた。警察の態度が悪く、怒られて、必ず起訴すると言ってきました。脳に障害が残っていると思う。今は時々思い出せないこともあります......」と警察批判と精神障害アピールも忘れない。

 そして最後はしおらしく、

「私は今でも、犯人が誰なのか分からない」

 分かってないのはY子だけだ。本人も苦し紛れなのかもしれないが、これまでは、これで人生渡ってこれたのだろう。つじつまが合わなくてもなんとかなると考えている節がある。年季の入ったブリッコ仕草も、それが通用していたからこその現在進行形なのかもしれない。

 ところでY子は公判で、自分の職業を"作家"だと述べており、実際、自らの半生を小説にして自費出版している。タイトルは『自由の天使』。確かに法廷でも遺族のことを顧みず、自由な発言を繰り返していたが、しばらく刑務所で不自由な生活を送ることになるだろう。
(文=高橋ユキ)

高橋ユキ(たかはし・ゆき)
裁判所で出会った面々と、女だけの傍聴グループ「霞っ子クラブ」を結成し、ブログ「霞っ子クラブの裁判傍聴記」を開設(現在は閉鎖)。書籍は『霞っ子クラブ~娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)ほか、『あなたが猟奇殺人犯を裁く日』(扶桑社新書)など。好きな食べ物は氷。

『日本の殺人』著:河合 幹雄/筑摩書房


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