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◆さすらいの傍聴人が見た【女のY字路】第7回

ミイラとりがミイラに!? 元警部補がトリコになったシャブと女


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*イメージ画像: 『極悪警部―金・女・シャブと警察の闇』
著:織川隆/大和書房

 2010年3月某日、東京地裁。ガチムチな大柄の体にスーツを着込み、ふんぞり返って被告人席に座っていたのは、佐藤祐介(49)。千葉県警佐倉署の元警部補(懲戒免職)だった男だ。犯罪者を検挙する立場の人間が、よりにもよって被告人席に座っているとは、なんと皮肉な話だろう。佐藤は不倫相手の女・M子(43)と一緒に覚せい剤を使用した罪で09年12月に逮捕。これまで10年間、薬物捜査に関わっており、当時は薬物銃器班の班長だった。これまた皮肉な話だ。

 M子との出会いは2年前。当時、覚せい剤取締法違反で逮捕されたM子の取り調べを担当したことがきっかけだった。執行猶予判決を受けたM子を、その後、別件の参考人として再び呼び出したことがきっかけで、親しくなる。お互い家庭を持つ身でありながら、密会を重ね、2人で覚せい剤を使用していた。佐藤はまた、職務上手に入れた密売人の連絡先をM子に教えたりもしていたというから、相当タチが悪い。

「最初に使ったのは09年の3月です。もともと、覚せい剤をまた使い出したM子に止めるよう言ってたんですが『止めたくても、止められない人の気持ちが分からないんだ』と言われ、それならオレに打ってみろ、と......。止められない人の気持ちが分かるのではと思い、打ちました」

 その後も定期的に2人で使い続けるが、佐藤はM子に薬を止めさせたいと思っていたという。しかし、そんな矢先、M子から別れ話を切り出され、「別れたくない、一緒にやろう」と言ったという。

結局、止めさせたいと言いつつ、薬をエサに関係を続けていたようにも聞こえる。密売人を教えたいきさつについても、「当時、M子は覚せい剤欲しさに、男に会いに行っていた。その男と会わせたくないので、紹介しました」と、嫉妬ゆえの行動だったようだ。

 この2日後、同じく東京地裁ではM子の公判が開かれた。立場のある男をここまで動かしてしまうM子とは一体どういう女だったのか。

 茶髪のショートヘア、やせ型の小柄な体。勾留されているためノーメイクだが、顔立ちは派手な美人だ。被告人にありがちなオドオドしたところがなく、静かな迫力と色気がある。若い頃、相当モテただろう。

 しかし、常習的に覚せい剤をやっている女性被告人というのは往々にして老けて見える。残念ながら彼女もそうだった。「50代かと思ったよ」とは、常連の男性傍聴人の弁。M子の調書にはこうある。

「その日、ネットカフェの駐車場で落ち合って、まず車内で佐藤の持っていた覚せい剤を使いました。私が佐藤の腕に注射して、その後私も自分で注射しました。効いてきた感覚を味わいながら、1時間もしないうちに、もう一度注射しました。その後、ホテルに移動してセックスしました......」

 いわゆる追い打ちにキメセク。なんというただれた関係だろう。被告人質問でも、滑舌の悪い小さな声で、「薬を止められるんであれば、いろいろと努力したい。でも今でもやりたくなる気持ちがあります」と、常習性の高さを伺わせた。

 この2人の関係は、M子が都内の警察に出頭し、全てを話したことで明らかになった。これについてM子は調書でこう語っている。

「今でも(佐藤のことが)好きなので、これで良かったのかと思うが、佐藤のことを隠しておくと、また覚せい剤をやってしまう、と弁護士に言われて、言おうと思った」

 ということは、薬を断とうと先に決意したのはM子ということになる。もし彼女が出頭しなければ、今も2人は隠れて薬を使い続けていたのだろうか......。

 ところで、この事件は他にもいくつか謎がある。

 まず薬の入手ルートだ。佐藤は使用時にM子に対して「証拠品から抜いてきた」などと言っていることが明らかになっている。コレが本当なら、さらにビックリだが、佐藤は公判で検察官に追求されると、

「M子が密売人から買ってきたものをこっそり抜き取って、持ってました。自分が薬を持っていれば、M子はついてきてくれると思ってました。自分では買ってません。警察という立場がそうさせました」

と苦しい弁明。

 続いて計量器。証拠品として署で保管していた計量器が佐藤の自宅から押収されているのである。これについても佐藤は、「珍しい計量器なので、もしかして何かに使えるかも、と、署で捨てようとしていた時、持ち帰りました」と供述。「通常は、証拠品の廃棄というのは複数人の捜査員が立ち会いのもと、トンカチかなんかでぶっ壊して廃棄するのでは?」という検察官の突っ込みにも「部下と2人で、片付けようと、ゴミ袋に入れました」と、答えになってなかった。

 使用頻度についても疑問がある。佐藤は「月に1度くらいの頻度で使ってて、9月から12月まで使ってなかった」と主張したが、これについても検察官が「頭髪から覚せい剤成分が検出されてますが、ハッキリ言って、相当やんないと、ここまでの反応が出ないと思うんですが」と追求。だが佐藤は「供述した通りです」とあくまでも主張を崩さない。

 そして、これらについて、M子も公判で詳しく語ることはなかった。弁護人からの被告人質問はナシ。検察官や裁判長から、入手ルートや密売人紹介の経緯を尋ねられても「答えたくありません」と、頑なに証言拒否。なぜか検察官や裁判官からの追求も弱く、この辺の謎はウヤムヤなまま結審し、結局、佐藤に懲役2年6カ月、執行猶予4年(求刑懲役2年6カ月)、M子に懲役1年6カ月(求刑懲役2年)の判決が言い渡された。
 
証言拒否をするということは、佐藤の言い分と違う真実があるのではないかと推測することもできるが、その辺をあれこれ喋って墓穴を掘るという事態を避けたM子には、一種の男気のようなモノも感じられた。

 この2人が立場も超え、シャブをキメつつ不倫に走り続けたのはどういう心境からだろう。そもそも不倫自体が人に言えない秘密の関係である上に、薬という絶対タブーの秘密も共有してしまったことでさらに燃えてしまったのだろうか。それとも途中から2人ともただのシャブ中になってしまったのか。こういう経験はしたことがないので推測だが、自分だったら途中から「自分は相手のことが好きなのか、それとも薬が好きなのか」と分からなくなって悩んでしまいそうだ。寂しさがつきまとって悪循環な気もする。
 
佐藤は事件がキッカケで離婚している。全て失うと分かっていながら、止めることはできなかったのだろうか?
(文=高橋ユキ)

高橋ユキ(たかはし・ゆき)
裁判所で出会った面々と、女だけの傍聴グループ「霞っ子クラブ」を結成し、ブログ「霞っ子クラブの裁判傍聴記」を開設(現在は閉鎖)。書籍は『霞っ子クラブ~娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)ほか、『あなたが猟奇殺人犯を裁く日』(扶桑社新書)など。好きな食べ物は氷。

『歌舞伎町のシャブ女王―覚醒剤に堕ちたアスカの青春』著:石原伸司


作者は夜回り組長!

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