ラッシャーみよしの「エロ業界栄枯盛衰物語」第5回:1982年

ハッスル、ハッスル! ピンサロ・マニアへの道

has_top.jpgピンサロは建前上飲食店扱い。風適法1号営業、
もしくは深夜における酒類提供飲食店営業の届け出で営業

 月に一度のピンサロ通い! といっても、風俗ライター歴25年、フェラチオされた女性のべ2000人超の現在のラッシャーではなくて、まだほとんど童貞だった学生時代の話ですから、月に一度のピンサロでもドキドキ、ハラハラしたものです……。

 塾講師のバイトをしながら給料日が来ると、必ず渋谷の『S』へ。午後4時に銭湯が開くのを待って、チンをお清めし、5時過ぎの電車に乗って、きっかり6時に目的地に到着。すると、憧れの「16番・梨花さん」がタラコみたいな唇を開いて待ってくれていたのでした。

 梨花さ~ん、溜めすぎて重いですう。早くしゃぶって、出して、飲んでくださ~い!

 というわけで今週はピンサロの話ですが、1982年というのはこれまでに書いた様々な新エロ事情とは別に、昔からのエロ、特にピンサロに新たな動きが加わろうとしていた時期でした。

has_sub01.jpg店内が暗いのは、個室ではないため客同士お互いの行
為が見えないように配慮されているから

 そう、皆さんご存知の「明朗会計・完全時間制・花びら回転」というやつですね。しかしこれについては、まさに全盛期を迎えた時にお話しするとして、ここでは1982年のピンサロのおさらいをしておこうと思います。システムは1対1サービスの飲み直し制。『S』もそんなスタイルでしたが、はじめに支払う金額は午後6時から7時までが2500円、7時から8時が3500円、8時から9時が4500円、9時以降5500円ということになっていました。

 これって、現在だと「射精するために実際に払う金額」ですよね。ところが当時は、この料金は入場料みたいなもので、サービスをしてもらうためには「飲み直し」料金を払わなければなりませんでした。それが7000円。プラス、指名料1000円がかかりました。

 つまり、ピンサロというのは昔はとても高い風俗だったわけです。また、悪質店も跋扈(ばっこ)し、いくら飲み直しを払ってもサービスしてもらえず、ついには4万円、5万円も払わされた……という例が後を絶たず、ババアばかりという評判とともにロクなイメージがありませんでした。が、ぼくの場合は友人に紹介されて入ったので優良店。ですが、初めて入った時はびっくりしました。

has_sub02.jpg店内でアップテンポな曲が多くかかっているの
は、フェラチオをする際に女のコがリズムをとり
易いから、という説もある

 なんだこのうるささは! 歌謡曲が大音量で鳴り響いているぞ。ボーイがそれよりでかい声で怒鳴りまくっているぞ。タンバリンまで叩いてる!

「ハッスル、ハッスル、ハッスル!」(※1)

 そして、お姉ちゃんたちは長じゅばんの前をはだけて、陰毛をなびかせながら走り回っている。

 さて、そんな様子に驚いている間に梨花さんが駆け込んできます。さっそくフェラチオですが、最初の20分は抜いてもらえません。飲み直しをして初めて、本格的にカポカポしてもらうのですが、ううう、チンは立つけど、あまりの雰囲気にいつまでも出ない。

 これが、PEDですね。ピンサロ射精不全症候群(笑)。今までオナニーばかりしていたチンはフェラチオの刺激では射精に至らず、また、この独特の雰囲気の中で精神的に萎縮して、ますます射精できなくなるという怖い病気です。

 ぼくはいつまでたっても射精できず、都合80分フェラチオされ続けて、それでも出ずに、店を後にしたのでありました。それから毎月、ぼくは『S』に通っては、梨花さんをフェラ地獄で苦しめ続けます。汗だくになって一心不乱にフェラチオし続ける梨花さん。頑として出ない精子。ようやく発射したのは5回目くらいだったかな。

 梨花さん、目に涙を浮かべて喜んでくれました。ぼくも泣いたら、最後は2人で抱き合って号泣。この時からぼくはピンサロ・マニアになったのでした。

※1 場内アナウンスで頻繁に聞かれた「ハッスル」という言葉。プレイの残り時間が少ないときや指名のない客が席についたときなどに、従業員や客を鼓舞するように使われた。

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